「月見まんじゅう」2024年9月17日。旅先にて。
2024年9月17日 静岡県賀茂郡松崎町「桜田より道売店」にて

今年は、10月6日が旧暦の8月15日。その夜を「十五夜」といい、お供えをして、中秋の名月を眺めます。旧暦では、新月になる日を毎月の1日としていました。そこで、月の形はほぼ日付と一致していました。十五夜はだいたいまんまるのお月さま、になりますが、今年、満月は十五夜の6日でなく翌7日、ということで、巷の話題になっているようです。たしかに、朔望(満ち欠け)の日数は一定でないため、十五夜の日と「満月」のタイミングは年により前後相違します。そして、自分の経験でも、日付でいえば十五夜の翌日が満月だったことが多いように感じるので、この機会にじっくり考えてみました。

↑十五夜~翌日の昼と夜、月齢の平均

十五夜は旧暦8月15日。まずは、旧暦なので、8月1日が新月ですね。
新月になる時刻は0時かもしれませんし、23時59分かもしれませんが、真ん中をとって、正午を基準にしてここから考えていくことにしましょう。うん、平均すればそれでよいはず。
月の満ち欠けの周期は、平均で約29.53日です。これも「平均」的に、半分の14.76日で満月ということにします。十五夜は8月1日から14日後。その正午の「平均的」な月齢は14.0になります。
ふむ‥満月より0.76日、早いですね(上図)。

しかし、月を眺めるのは正午ではありません。夜までに、月齢も進行します。
夕方6時には、月齢14.25→夜半には14.5、ああ、日付がここで変わるけれど、もうすぐ満月になるではありませんか!なるほど、平均的満月月齢を14.76とすると、それは新月(の平均)から起算して日付では16日の朝になります。でも、16日の晩の月よりも、平均値を使った計算では十五夜のほうが満月に近いことになります。おお!

満月の十五夜(2004年9月28日)
十五夜の月(この年はちょうど満月でした)

というわけで、「だいたい十五夜ころが満月」でOKなのだというのが自分の結論です。ただし、「日付」はその夜の途中で変わるため満月の「日付」は翌日になりやすく、また、はじめに述べたように、月の満ち欠けの速さは一定でなく、加えて新月の時刻も実際は正午と限らないので、前後の晩の方が満月に近い場合もある、ということなのですね。

ちなみに、来年(2026年)の十五夜は9月25日の夜、満月は9月27日1時49分ということなので、日付の上ではなんと2日もずれます。これは大きい。

2025年の場合、満月は10月7日12時48分、つまり月が出ていない日中になります。では10月6日夜 vs 7日夜ではどちらの月がまるいのか、当館のプラネタリウムでも使われているアストロアーツ社のシミュレータの計算結果は、夕方では7日夜のほうがわずかに円さに勝りますが、明け方同士になると逆転し、6日の晩(7日の朝)のほうが円いという結果でした。さて、実際に見た感覚は、いかがでしょう?

冒頭の写真は、昨年、旅先の伊豆松崎町で出会った十五夜の日の風景です。
お供えは地域ごとに特色があります。当館周辺はお団子地域とおまんじゅう地域が隣接します。十五夜のお供えは美味しくて(いや、お供えは自分が食べるのでなくお月さまのためのものですが)、あとでいただくのもきっと家族の楽しみですよね。かわいいポップとともに、この地域の方々の笑顔に満ちた情景が目に浮かびました。十五夜のお供えは家々で行います。旅先で垣間見た風習に、旅情をそそられました。

頭を挙げては山月を望み
頭を低(た)れては故郷を思う
       (唐・李白)

皆様の日々がいつも豊かな実りに恵まれますように。お月さま、お願いします。