昨日未明~明け方にかけて、皆既月食が見られました。

8月23日の記事でご紹介した、日本では3年ぶりとなる皆既月食。平塚では晴天に恵まれ、全経過を観察することができました。当館の屋上で天文担当の学芸員が撮影したほか、当館の天体観察会会員が各地で撮影に挑みました。下の画像は部分食が始まってしばらく経ったときの月の様子……地球には大気がありますから欠け際が日食と異なりぼんやりしていますね。

下の画像は、皆既が近づいた2時26分に露出をオーバーにして撮影したもの。欠け際が青っぽく見えていますね。ターコイズフリンジと呼ばれる、地球のオゾン層がつくりだす現象です。画像処理をすればもっと青色を際立たせることができるのですが、とりあえず撮って出し。

皆既中は赤い月が見えたわけですが、今回はどちらかというと“暗い”皆既月食でした(写真だと露出時間をかけられるので暗く感じないですが)。皆既中の月の明るさや色味は、食の“深さ”や地球の大気の状態を反映し毎回異なります。半年後には再び皆既月食が起こりますが、次はどんな明るさ・色になるでしょうか?

月食は月が地球の影に入って暗くなる現象。なので月の暗くなったところは、月面に映った地球の影なのです。その大きさがよくわかる画像を1つ紹介しましょう。

連続写真を見ると、月が地球の影に入って再び出ていく様子が良くわかりますね。

上の画像で月食の後半、復円しつつある月が赤っぽく写っているのは月の地平線からの高さが低くなったためです。夕焼けと同じ原理ですね。

実は今回の皆既月食の最中には星食も起こっていました。みずがめ座81番星(81 Aqr)と同82番星(82 Aqr)の食です。暗い星なので皆既食中でなければ(通常の満月では)潜入も出現も捉えられなかったでしょう。

皆さんは、今回の月食、楽しめたでしょうか?え、朝早すぎて(夜遅すぎて)見られなかった?で、あれば次回に期待です。前述しましたが、次の皆既月食は2026年3月3日……およそ半年後です。日本のほとんどの地域で全経過が見られます。しかも、部分食の開始が19時ちょっと前、皆既食となるのが20時過ぎから21時過ぎ、部分食が終わるのが22時15分過ぎと、時間帯的に見やすい!ぜひ楽しみにお待ちください。もちろん晴れないと見られないので、今から晴天を祈願しておきましょう。

画像提供:
3枚目 赤松洋祐さん(当館天体観察会会員)
4枚目 大井健さん(当館天体観察会会員)
5枚目・6枚目 水永仁さん(当館天体観察会会員)
7枚目 大井正子さん(当館天体観察会会員)
8枚目 冨永基夫さん