去る1月10日、体験学習「体験!宇宙飛行士選抜試験」を開催しました。

実は、このイベントは当初8月に行われる予定だったのですが、新型コロナウイルス感染症の拡大を受けて延期となっていました。参加したのは小学校3年生から中学2年生までの8人。日本人宇宙飛行の紹介や宇宙飛行士の仕事、国際宇宙ステーションでの一日といった講義を挟みつつ、参加者には4つの試験を体験してもらいました。

まずは自己紹介(自己PR)。
自らのことを伝える力、ユーモアなどをみる試験…13年前の採用試験のときには、大西卓哉さん(現JAXA宇宙飛行士)が一人ミュージカルを演じたことはよく知られています。今回、一人当たりの持ち時間は3分。必要であれば何か道具を持ってきてもいい、としました。最初の試験だったので皆かなり緊張した面持ちでしたが、自分の好きな本やスポーツの道具などを持ってくるなどして、工夫を凝らしていました。

続いては4人1組でまっ白なパズルを組み立てる試験。定番中の定番ですね。制限時間を伝えずに始め、各チーム、それぞれのやり方で完成を目指していました。もちろん完成させることはできません(大人一人で15時間もかかるパズルです)。ともすればイライラしてしまいがちな何も描かれていないパズルを、チームワークでどのように完成に近づけるか…コミュニケーション力や集中力などをみる試験と言えます。

休憩を挟んで、次なる試験は題して「背中合わせお絵かき」。2人1組のペアが背中合わせで座り、片方にはイラストを、もう片方には筆記用具を渡し、言葉だけでイラストの内容を相手に伝え、同じものを描いてもらうという試験です。互いに質問はOK。コミュニケーション能力と伝達力が試されます。

最後の試験は、超難関!?講堂(管制室)とプラネタリウム室(宇宙船)に分かれ、管制室チームが遠隔(電話通信)のみであるものを宇宙船チームに作ってもらうというものです。何を作るのか、その実物は管制室にしかありません。設計図もありません。言葉だけでうまく伝えなければいけません。チームワークも大事です。さぁ、はたして…?

現在、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が13年ぶりに宇宙飛行を募集しています。今回は応募要件がかなり緩和され、非常に間口が広がったことが話題となりました。もちろん、この体験学習に参加した子たちは、まだまだ応募可能な年齢に達していませんが、人類が宇宙開発を続けていく以上、必ずや彼ら彼女らが大きくなったタイミングでさらなる宇宙飛行士の募集が行われるでしょう。そのとき、技術がどう進歩していようと、宇宙飛行士に求められる資質の根本は変わらないはずです。今回の体験学習が、参加者にとって宇宙飛行士という職業を身近に考えるきっかけの一つになれば幸いです。