月1回、第三水曜日に活動している「裏打ちの会」は、もう40年近くも続く博物館のワーキンググループ です。現在のメンバーは10人ほど、古くから参加している方のお話によると、1976年に博物館が開館して間もなく、古文書講読会がきっかけで誕生したグループだといいます。

 「裏打ち」とは、絵画や書の修復技法の一つです。博物館では、蔵などに長くあって、虫食い等で傷んだ古文書を中心に修復しています。古文書の裏側に湿らせた和紙を貼り、虫食いの穴を目立たたなくし、あわせてシワをとって紙の補強もしていきます。こうして昔の資料が蘇るのですが、「裏打ち」はたくさんの手順がある難しい作業です。慣れないと、乾燥させたときにシワがよったり、せっかく裏打ちした紙がはがれてしまったりするそうで、「上手下手がはっきりわかってしまう」ということでした。

 現在集まっているメンバーはベテラン揃い。「裏打ちを始めた時に、15、6歳だった子どもが今は40歳になるから、もう30年近く通っているのね」と話されていました。「裏打ちの会」が長く続いていることについては、皆さん口を揃えて「メンバーがいいから。和気あいあいで楽しいから」ということでした。ただ技術については、遠慮なく注意がとぶので、新人の頃は、貴重な資料を前に、緊張で手が震えた、という思い出を語る方もいました。長さのある巻物などは、紙に貼るのも、乾燥させるのも一苦労なのだそうです。

 こうした地道な作業を、長年にわたり続けてくださる方々の存在と協力で、消えてしまったかもしれない地域の資料が救われて、博物館の収蔵庫に収められ、未来に伝えていくことができるのです。