博物館は休館中ですが、学芸員は野外行事、資料整理、研究など、各々鋭意活動中です。

12日(金)には、地質担当が丹沢山地を作る地層中に見られるかつての海底火山の証拠を調査に行きました。

西丹沢にある丹沢湖周辺の地層(丹沢層群塔ヶ岳亜層群)は、丹沢山地がかつて海底火山であった時の火山噴出物が堆積してできた凝灰岩が主体です。特に丹沢湖の東から延びる小菅沢の塔ヶ岳亜層群では、凝灰岩の中に時折、枕状溶岩という岩体を特に数多く見ることができます。

枕状溶岩は、海底で噴出した溶岩が海水で冷やされて表面が固まり、さらにそれを突き破った溶岩がまた冷やされ・・・という過程が繰り返されることで、丸い溶岩がいくつも積み重なったものです。

沢の中には、大小の枕状溶岩の転石がいくつも見られ、上流にさかのぼると、地層中に残る枕状溶岩の露頭も見つけることができました。

これらは約1700~1600万年前、丹沢が南の海の海底火山であったことの証拠です。

枕状溶岩の巨大な転石(写真左のハンマーが約30㎝)。丸い枕のような溶岩が積み重なったように見える。

 

地層中に挟在する枕状溶岩の露頭。