先日来、宵の西の空で火星とレグルス(しし座の1等星)が並んで見えています。

火星は地球と同じように太陽のまわりを回っています。そのため、地球から見ると夜空での位置を毎日変えていきます。木星や土星は遠いので一日二日程度では位置の変化はわかりませんが、火星は空での動きが意外と速いです。特に近くに明るい星があると、その星との位置関係が日一日と変わっていくのがよくわかります。というわけで、ここ数日は火星がだんだんレグルスに近づいていって、そして遠ざかっていくという様を追うことができました。

火星とレグルスの最接近は6月18日でした。とはいえ、その時刻は2時。なので、火星とレグルスが最も近づいて見えたのは6月17日の宵のこと。当館の天体観察会の会員も、何人かが写真撮影に挑みました。下の画像(と一番上の画像)は大井正子さんが撮影したもの。

火星は、その表面が酸化した鉄分を多く含む砂で覆われているため赤っぽく見えますが、一方のレグルスは自ら光り輝く恒星で、表面温度が1万度を超える青白い星です。そのため色の対比が美しく見ごたえがあります。下の画像は大井正子さんがわざとピントをずらして撮影したもの。両者の色の違いがよくわかりますね!

続いての画像は冨永基夫さんが撮影したもの。6月17日と18日に撮影したものを合成した画像で、位置関係の変化がよくわかります。

ところで、空で並んでいるように見える火星とレグルスですが、地球からの距離は大きく異なります。6月17日21時の時点で地球ー火星間距離は2.7億kmほどですが、地球ーレグルス間距離は70光年(=630兆km)以上離れています。宇宙の奥行きを感じられますね。
今後、火星とレグルスの見かけの位置はどんどん離れていきます。ぜひ追いかけてみてください。