SLの前に咲く白い花の風景
SLの前に咲くシンテッポウユリ(2020年8月14日撮影)

博物館のある文化公園に白いユリの花がたくさん咲いています。

丈の低いものは30㎝ぐらい、高いものは2mぐらいにまで成長しています。これはシンテッポウユリという園芸植物由来の外来種です。

花被片の外側に紫の筋が目立つ丈の低いシンテッポウユリの花
博物館の裏で咲いていたもの

シンテッポウユリの花の正面アップ
内花被片(内側の花びら3枚)は外花被片(外側の花びら3枚)に比べて太い

花は大きくきれいで目立ちます。

もともとは園芸用にタカサゴユリとテッポウユリを交雑させて作り出されたもので、種でよく増え、あちこちで見られるようになりました(『神奈川県植物誌2018』より)。可憐な見た目ですが、アスファルトのすき間から生えているのを見かけることもあります。

当館では『神奈川県植物誌2018』に基づき「シンテッポウユリ」と呼んでいますが、この外来種の白いユリをなんと呼ぶかについては様々な意見があり、図鑑によっては「タカサゴユリ」として記載されていることもあります。また、現在花卉として出荷されている「新鉄砲ユリ」は葉が太く、外花被片と内花被片の大きさの差が小さく、花は上向きに咲き、同じ名前で呼ばれると違和感を覚える人もいるかもしれません。そのあたりの事情は『FLORA KANAGAWA神奈川県植物誌調査会ニュース』第61号の10~12ページ(760~762ページ)に詳しく書かれています(リンク先PDFが開きます)。

文化公園のシンテッポウユリですが、今年は花被片の外側に紫色の筋がありますが、去年は真っ白(紫色の筋がない)でした。シンテッポウユリは交雑でできた雑種なので、テッポウユリの特徴が強く出たり、タカサゴユリの特徴が強く出たりしているのでしょう。

シンテッポウユリの花を横から撮影したもの。花被片に紫の筋がある。
シンテッポウユリの花被片外側の色(2020年8月14日撮影)
シンテッポウユリの花を横から撮影したもの。花被片に紫の筋がない。
シンテッポウユリの花被片外側の色(2019年8月10日撮影)