この秋、2階の情報コーナーでは「平塚南原と小川一真」と題して、かつて平塚の南原にあった「日本乾板株式会社」の存在を紹介展示します。

 明治から大正にかけて活躍した写真家・実業家である小川一真(おがわかずまさ1860~1929)は、22歳の若さで単身アメリカに渡って写真技術を学び、1897年から東京で写真館を構えました。

 彼が手がけた写真として最もよく知られるのは、旧千円札紙幣に使われた〈夏目漱石の肖像〉でしょう。やがて小川は、輸入に頼っていた写真乾板の国産化を目指し、1907年「日本乾板株式会社」を設立、敷地面積1万5千坪に及ぶ平塚南原の工場で、その生産に入ります。1918年、58歳の時に自身も南原に移り住みますが、関東大震災で工場の倒壊に見舞われるなど、乾板製造の夢は果たせずに終わりました。
  現在、平塚の市史編纂室には、小川一真の撮影と伝わるガラス乾板13枚が所蔵されています。10月5日(土)からの展示では、この資料を中心に、かつて近代的な写真工場を建設し、乾板の国産化を志した小川とその関係者にまつわる歴史を紹介していきます。

五姓田芳柳氏大鎧着初式侍の一部 写真集『大鎧着初式』掲載(明治43年に小川一真が刊行)。平塚に伝わる13枚の写真乾板の1枚を現像したもの。

 また、秋休みには博物館で体験学習もおすすめです。この展示の関連事業として、10月13日(日)に〈ピンホール写真体験教室〉を開催します。小学校3年生から中学生までが対象です。紙で箱型のカメラを組み立てて、針で突いたような小さな穴(ピンホール)から入った光を印画紙に焼き付ける方法で写真を撮影していきます。

ピンホール写真体験教室 10月13日(日)追加募集受付中!

①午前の部:午前9時30分~12時30分 ②午後の部:午後1時30分~4時30分
場所:博物館講堂・科学教室
定員:各回20名(応募多数時抽選)
対象:小学3年生~中学3年生
講師:社団法人日本写真協会(PSJ)
参加費:500円
参加:電子メール(museーevent@city.hiratsuka.kanagawa.jp)に行事名・参加希望の部(午前か午後)氏名・学年・住所・電話番号を記入して申込み。
締切:10月6日(日)(消印有効:メールの場合は同日中)