博物館の北側、駐車場に面して、大きなユリノキが一本そびえています。淡いきみどりに明るいオレンジのぼかしを入れたチューリップ型の花が、今年はもうほころび始めました。


ユリノキは以前は建物の南側にも2本あり、博物館建設の際、設計を変更して樹を残したと聞いています。博物館がスタートした1976年ころは、開発による自然破壊が大きな社会問題で、自然との調和が叫ばれていました。元館長の浜口さん(故人)は、生き物の尊重のシンボルとして、しばしばこの木を用いていました。およそ20年前、初めてホームページを立ち上げたときも、ページのバックに、半纏(はんてん)のようなその葉のシルエットをあしらいました。
わたしたちの活動をずっと見守ってきた大樹は、今は1本になり、しかしその枝いっぱいにつけたつぼみを、いま開こうとしています。新しい時代も、この地に生きるすべての存在を尊重し、ともに支える、そんな地域博物館であり続けたいと思います。