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相模川の生い立ちを探る会 2007年1月 「大磯」

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「相模川の生い立ちを探る会」 活動の記録

第179回 2007年01月27日 

大磯町湘南平登山道


湘南平の地層と活断層

今月は「湘南平の地層と活断層」をテーマに大磯町東小磯〜湘南平を歩き、登山道沿いの大磯層及び高麗山層を観察しました。
 駅前のエリザベスサンダーホームの前では、高麗山層起源と思われる火山礫凝灰岩の石垣が見られました。大磯町ではよく見かける石材で採掘地点がどこなのか気になります。駅南方の切り通しでは、大磯層に属する白色軽石に富むシルト岩を観察しました。ごま塩状の細粒な軽石が目立ちました。
 東小磯から湘南平への登山道に入ると、数カ所で、切り通しと同様の白色軽石層を挟むシルト岩からなる大磯層が観察されました。大磯層と高麗山層との境界部では地形的に両側から谷が迫り、やせ尾根となり、東北東−西南西走向の明瞭な断層地形が確認できました。断層そのものは確認できず、逆断層である証拠は見いだされませんでした。ここからは珪質頁岩となり、高麗山層群の分布域となりました。高麗山層群は白っぽいデイサイト質の火山角礫岩ないし、火山礫凝灰岩が主体でした。湘南平の山頂付近では、高麗山層群を浸食した波食台が数カ所で見られました。この波食台の上には箱根火山から噴出された吉沢軽石層が観察されました。この標高は145〜155m程であり、過去13万年間に150m程隆起した証拠を見ることができました。
伊豆弧北端部に位置する大磯丘陵は、現在相模湾に位置する沖ノ山堆列の一部として生まれたと考えられており、大磯層や高麗山層がどのような場所で堆積し、どのようにして移動し隆起して現在のようになったのかを考える良い機会となりました。         (S.M.)
                    

高麗山層の石垣 切り通しの大磯層
▲大磯駅前エリザベスサンダーホームの石垣に使われた高麗山層群の火山礫凝灰岩を観察。
▲大磯駅南にある切り通し、大磯層のシルト岩露頭を観察。
断層地形展望 横穴古墳の大磯層
▲千畳敷南断層の断層地形を遠望する。断層線は峠部から撮影点を通る。 ▲大磯層中に開けられた横穴古墳を観察する。
高麗山層境 湘南平から展望
▲断層のすぐ北側に露出する地層を観察。高麗山層か大磯層か議論する。 ▲湘南平レストラン展望台より大磯丘陵の地形の解説。
波食台を観察 折れ曲がった地層
▲湘南平頂上下にある波食台の証拠の露頭を観察。 ▲北傾斜と南傾斜の地層が隣り合った大磯層を観察する。


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