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海岸の地形

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最終更新 2004年3月

海岸の地形
 


■砂浜
 国府津から鎌倉にかけて続く海岸は砂などが堆積してできた海岸なので、堆積海岸と呼ばれる。堆積海岸には、国府津海岸のような大きな礫からなる礫浜、相模川河口のような泥質な堆積物からなる干潟もあるが、湘南海岸の大部分は砂浜海岸となっている。この海岸には、大磯、茅ヶ崎、片瀬西浜、片瀬東浜、由井ヶ浜、材木座等、海岸線がやや湾状に窪んだ場所に海水浴場が見られ、行楽地となっている。その他の海岸は波が荒く、海底の勾配が急で、遊泳には適していない。特に、国府津から大磯にかけての海岸では丘陵地が背後に迫り、海底の勾配が大きいため急に深くなっている。
 浜は満潮と干潮の間に見えかくれする前浜と、高潮や暴風の時のみに波のかぶる後浜に区分される。後浜には汀線(陸地と海面との交わる線)に並行して平坦な地形(汀段と呼ばれる)がよく見られる。後浜の背後には風によって砂が運ばれ砂丘が作られている。砂丘は国府津から江ノ島にかけて海岸に並行して連続している。
 前浜は、普段の波打ち際で、天候や季節により変化の激しいところだ。ここには海に向かって張り出した高まりと円弧を描いた低まりが交互に並んでいるのが良くみられる。これはビーチカスプと呼ばれ、波が正面から入ってきた場合に良くできるといわれる。海に向かって突出した部分には粗い細礫が、窪んだ部分には細かな砂がたまっている。これは波が寄せたり戻ったりする場所(遡上帯)にできるもので、寄せ波による堆積と引き波による侵食とが密接に関係してできるようだ。このビーチカスプの繰り返しの波長は、平塚海岸では50m弱であった。
 前浜の前面の海底には、海底州(沿岸底州)と呼ばれる砂の高まりがあり、ここで打ち寄せる波が砕ける。サーフィンが盛んに行われている場所は、この海底州が良く発達している場所といえる。砂浜は季節によって地形的に大きく異なり、夏浜では、比較的静穏な環境が続き堆積傾向が強いのに対して、冬浜では暴風が支配し、侵食傾向の強い浜となる。
 ■磯
 一方、江ノ島や小動岬、稲村ヶ崎などでは岩場からなる岩石海岸がみられる。これらの場所では、丘陵が海に迫り、海岸に沿って海食崖が続き、断崖となっている。これは波の作用で侵食されてできた地形である。江ノ島の南側の海岸には海面上からわずかにでた平坦な岩場が広がっている。これは海食台と呼ばれる地形で、かつて海面下で波により形成された平坦な地形が、地震の際に隆起し、海面上に姿を表したものである。大正12年の関東大震災の時には一mほど隆起したといわれている。また江ノ島の岩屋は地層の弱いところを波が削って作った海食洞だ。江ノ島にはこうした海食洞はいつくも見ることができる。 

平塚海岸 茅ヶ崎海岸
▲平坦化された平塚海岸の砂丘 ▲茅ヶ崎海岸の砂浜海岸
ビーチカスプを作る礫 国府津海岸の礫浜
▲砂浜には、波の作用で三角形状に礫が堆積し、ビーチカスプを作る。 ▲大きな礫からなる国府津海岸の礫浜。
照ヶ崎海岸 江ノ島の波食台
▲関東大震災の時に隆起した照ヶ崎の岩石海岸 ▲かつて海面下にあった波食台が、地震で隆起したもの(江ノ島南側)

▲砂浜海岸の地形区分


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