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火山の砂 1

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最終更新 2006年6月
「山から海への砂の旅」

火山の砂 1


■台地と丘陵を削る河川の砂  
  相模野台地、大磯丘陵、秦野盆地などの台地や丘陵に源流を持つ小河川に、相模川水系の境川・引地川、金目川水系の座禅川・葛葉川・葛川・不動川・中村川などがあります。こうした地域の河川は都市化が進んで人工の護岸や河床となっているところが多く、本来の自然の地形が見られません。これらの小河川は谷頭が台地や丘陵内にあり、基盤岩の露出がなく、ローム層を削って流れるため、河原に礫も少なく砂も泥質となっています。泥分(ローム分)を洗い出して、砂粒子の種類を識別すると、大部分が火山灰粒子を作る小富士起源の火山砂(溶岩片やスコリア片)、鉱物砂(斜長石やカンラン石)であることがわかります。
火山の砂と冨士・箱根火山の活動 
  火山に由来する砂の大部分は古富士火山の噴火により上空に舞い上がった火山灰が偏西風で東方へ流されて降下堆積した、いわゆる関東ローム層中に含まれるもので、スコリア片や溶岩片の火山砂です。箱根火山も古富士火山以前から活動し、多量の軽石や火山灰をもたらしていますが、表層をより新しい古富士起源のロームで覆われるので、河成砂は古富士起源の火山砂が主体を占めます。
 降下火山灰とは別に、噴火口から火砕流や泥流となって流下した堆積物も知られています。箱根火山がカルデラを形成した際の箱根新期軽石流(火砕流)、富士火山から流れた古富士泥流や御殿場泥流などがあります。
  こうした火山灰や火砕流の中には鉱物も多量に含まれています。富士火山や箱根火山の玄武岩〜安山岩には、斜長石・普通輝石・紫蘇輝石・カンラン石・磁鉄鉱が見られ、石英・黒雲母・角閃石は含まれていないのが一般的です。それゆえ、この地域の河成砂も同様の鉱物組成になります。

冨士グランドキャニオンの厚いスコリア

火砕流の作る台地

▲富士火山の厚いスコリアの成層(冨士グランドキャニオン)

▲箱根火山から5.2万年前に流下した火砕流が作る平坦面(平塚市土屋)

土屋の箱根新期火砕流露頭

山中湖畔の冨士スコリアからなる砂

▲箱根火山から5.2万年前に流下した火砕流(箱根新期火砕流)の露頭(平塚市土屋)

▲冨士のスコリアからなる山中湖畔の砂(6倍)

茅ヶ崎市堤の小出川の砂

大和市深見の境川の砂

▲小出川の砂は火山灰起源(茅ヶ崎市堤・9倍)

▲境川の砂も火山灰起源(大和市深見・6倍)


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