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東丹沢のタマネギ石(4)−そのでき方−

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最終更新 2004年3月

東丹沢のタマネギ石(4)−そのでき方− 


■タマネギ石のできかた
 タマネギ石は丹沢が隆起して凝灰岩類が地表に露出してから、風化作用(物理的・化学的作用)によって形成されたものです(下図)。
 岩石にはプレート運動など大地にかかる圧縮力により、地表に露出する前の地下で応力がかかっています。隆起して岩石が地表に露出すると封圧が解放され、系統的な二方向の節理が形成されます。東丹沢では、北東方向への圧縮、北西方向への伸張が働き、東西〜東北東−西南西走向南傾斜の節理系と北東−南西走向北傾斜の節理系が顕著に発達します。
 こうした節理面に沿って酸素や二酸化炭素、雨水や地下水が浸透し、岩石を構成する鉱物を酸化させたり、特定の元素を溶脱させて新たな粘土鉱物を生成させ、岩石を脆弱にさせます。これにより節理面沿いに風化層が形成され、岩石は褐色化します。水は、一方向の節理面より、二方向の節理面の稜線からの方がより浸透し、三方向の節理面の交点ではさらに浸透が早くなります。それは乾燥についても同様です。従って、鉱物の粘土化や特定成分の溶脱による風化は節理面同士ないし層理面との交点部でより進行します。それゆえ、節理面の交点部分でより厚い風化層が形成されます。
 気温気候変化(一日の温度差や季節の温度変化)によって、熱や水の凍結による膨張と、乾燥による収縮が繰り返され、脆弱化した風化層にそって亀裂が拡大し、第1層目の殻皮として剥離します。二方向の節理面の交点部では、より風化の進行が早いので、曲面をもった殻皮が生じます。
 殻皮が剥離するのは、この膨張・収縮という物理的作用による要因が大きく働きます。核部分には内部に封じ込められていた微細なクラックが外側へ向かって、次第に拡大するようになります。
 殻皮が剥離すると、2の風化がさらに内側へ促進されて、3の膨張収縮が繰り返しされ、第2層の殻皮が形成されます。これによりタマネギ殻皮が形成されます。節理交点付近で厚い殻皮となるため、次第に球形の核となります。細粒の凝灰質砂岩では、層理面が比較的顕著なので、コロッケ状のタマネギが形成されます。
 核内部の微細なクラックが拡大して外側に達し、親タマネギ内に引っ張り応力による副節理を生じ、子タマネギが形成されます。水の浸透が次第に悪くなるため、風化の進んだタマネギほど核に近い殻皮の厚さは薄くなります。

→タマネギ石とは
→タマネギ石の特徴
→タマネギ石と風化
 
引用文献 森慎一(2004) 平塚市博物館研究報告「自然と文化」27号

荒崎の火山豆石
▲タマネギ石のでき方

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