わたしたちは「相模川流域の自然と文化」をテーマに活動している地域博物館です

食卓の周り

食の民具たち 平成16年冬季特別展 (5 食卓の周り)

食卓の周り


 炊きあがったご飯を蒸らし、杓文字でよく切って釜からおはち(お櫃)に移し、濡れ布巾を掛けて蓋をします。ご飯はおはちに移すことでさらに美味しくなります。木が余分な水分を吸いとってくれるので、ご飯がべたつきません。保湿性も優れているので、硬くならず、ふっくらとした状態が保たれます。通気性もあるので少々時間が経過しても味が落ちません。
 ただし、夏場は暑さ対策が必要でした。むかしのお米は糠が完全に除去されておらず、しかも、大麦を半分くらい混ぜて炊いた麦飯だったので、今よりもすえやすかったのです。そこで、ご飯を笊にあけ、濡れ布巾を被せて軒先など風通しの良い所に吊したりしたのですが、戦争直後は夜の間に盗まれてしまうこともあったそうです。ご飯籠という蓋付き、足付きの竹籠を用いる家もありました。専用のの上におはちをのせ、通気性を良くする方法もありました。また、お櫃蓋とかおはち蓋といって、竹で編んだ夏用の蓋をおはちに被せる家もありました。これはどちらかというと農家よりも町場の家で使われていたようです。
 おはちは板が厚いのである程度の保温性はありますが、冬場はどうして冷えてしまいます。そこで、蒲団にくるんだり、風呂敷に包んでコタツに入れたりして保温しました。藁で分厚く編んだおはち入れを用いる家もあり、おはちを蒲団などでくるんで入れました。こうすると、朝炊いても昼までほんのりと温かいご飯が食べられました。
 おはちより大きなハンダイは、モノ日に寿司飯を作ったりした桶です。
 さて、昔も今も夏は蠅に悩まされますが、かつては今とは比べものにならぬ量の蠅が飛び交っていました。戸を開け放したまま食事をするので、蠅は入り放題。殺虫剤など普及していないので、目の前の蠅にバチンと手を合わせて握りつぶす。残り物にたかられないように、蠅帳を被せたり、棕櫚製の蠅叩きで潰したり、天井に止まった蠅をガラスの蠅取りで吸いとったりといろいろ工夫しました。また、残り物や食器は茶箪笥にしまいました。茶箪笥は作りつけの家も多く、めいめいのお膳に茶碗や汁椀や小皿をのせて積み重ねてしまったり、来客用の食器、黒塗りの膳椀などに分けて収納していました。

杓文字(しゃもじ) お櫃(おぜん) 濡れ布巾(むれぶきん) 軒先(のきさき) ご飯籠(ごはんかご) お櫃蓋(おひつぶた) 蒲団(ふとん) 風呂敷(ふろしき) 蠅(はえ) 蠅帳(はえちょう) 棕櫚(しゅろ) 蠅叩き(はえたたき) 茶箪笥(ちゃだんす) お膳(おぜん) 茶碗(ちゃわん) 汁椀(しるわん)






ページの先頭へ