15 地震と平塚の地盤
●地震と地盤
地震はある日突然おそってきます。断層を境に大地が大きく食い違うと地震が起きます。今後、東海地震や南関東地震などが起こる可能性が
叫ばれています。大きな地震があったら平塚はどうなってしまうのでしょうか。どんな被害が予想されるでしょうか。自分たちの住んでいるところが、どんな地形からできているのか、どんな地層からできているのか、今後動く可能性のある断層(活断層)はどこに走っているのかを知っておきましょう。
●平塚の微地形と地盤
平塚の町は海が作った砂地の平野と、川が作った泥地の平野とに大きく二分されます。平らに見える平野も自転車で走ると、土地の微妙な高低がよくわかります。その高低はその土地のでき方、地形の違いによるものであり、地下の地層の違いを示しています。
真土以南の平塚の平野は、大部分が海が作った砂地の平野で、砂州や砂丘の高まりが東西によく発達しています。この高まりの間には泥地からなる凹地が東西に分布しています。
真土以北や相模川・金目川沿いには、川沿いにできた自然堤防の微高地と、その背後に相模穀倉地帯をなす後背湿地が広がっています。自然堤防の間や、砂州・砂丘列との境には旧河道が見られます。
海岸に分布する砂州砂丘列と背後の凹地
(市内虹ヶ浜。平塚の平野の南半部は
この砂州砂丘地帯からなる。)
●軟弱地盤とは
砂丘間の凹地、後背湿地、旧河道などの低地は、水はけの悪い湿地からなっていて、軟弱地盤と呼ばれます。軟弱地盤とは地盤の強度をしめすN値(63.5kgのおもりを75cmから落として30cm打ち込むのにかかる打撃回数)が10以下のものです。平塚の軟弱地盤は砂州・砂丘地帯では薄いものの、自然堤防地帯や台地を刻む谷底平野(谷戸田)で非常に厚く、20m以上に達するところもあります。
自然堤防と旧河道
(市内大神。水田は、わずかに低い旧河道であり、
その周囲は畑地でやや高い自然堤防からなる。)
●地盤の液状化
砂地の地盤や砂を含む泥地の地盤では、地震の際に液状化現象が起きることが知られています。液状化とは、水を含んだ砂が液体のように振る舞い、砂が吹き出したり、マンホールなどが浮き上がったりします。液状化と軟弱地盤については、博物館で所蔵するボーリング資料を用いて、液状化の可能性の判定図や、軟弱地盤の厚さの図を作り、微地形分類図と比較して展示してあります。
大正12年関東地震による馬入川鉄橋の落下。
液状化によるものと考えられる。
ボーリング柱状図をみると地下の地盤の様子や
地盤の強さがわかる。
●丘陵にある活断層
平塚の地盤には過去1万年間でできた新しい平野の地盤のほかに、それ以前に形成された丘陵の地盤があります。丘陵の地盤には軟弱地盤はありませんが、地震の際に問題とされる活断層が走っています。 平塚の活断層は、丘陵と平野の境目に数多く走っています。ここでは、湘南平の北側を東西に走る小向断層の露頭を実際に剥ぎ取りして展示しました。断層を境に北側(右側)に岩盤が、南側(左側)に軽石層が接しています。両者の境目には断層破砕帯があり、未固結な軽石層は、ズタズタに寸断されています。この断層は北側の湘南平側が地震のたびに隆起していることを示しています。伊勢原台地の西縁を区切る伊勢原断層も活断層ですが、平安時代に動いたことが知られ、活動間隔が5000年と考えられているので、安全な活断層と言うことになります。
湘南平の下を走る活断層
(市内高根の小向断層。右手は岩盤であるが、
左手は火山灰と軽石である。この断層を境に
して比高100m以上のずれが知られている。)
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