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ハイアロクラスタイト

流域の岩石 (2.丹沢凝灰岩類)

ハイアロクラスタイト

最終更新 1998年5月


輝石安山岩の自破砕溶岩で、同一の角礫からなります。角礫は白色の斜長石と暗緑色の輝石からなっています。礫はやや多孔質で気泡を埋めて沸石が生じています。

清川村宮ヶ瀬 ハイアロクラスタイト
 
ハイアロクラスタイト(青急冷)
青灰色の礫が多量に入った岩石で火山角礫岩のように見えます。しかし、礫状の岩石はいずれも同質の玄武岩の破片で、その周囲は急冷されてガラス質になっています。玄武岩片には細かな斜長石が認められます。白っぽい基質にも同様の斜長石が含まれ、水中に流出した溶岩流が破砕を受けて生じた岩石です。このような岩石をハイアロクラスタイトと呼びます。


秦野市水無川上流 ハイアロクラスタイト(青急冷)
 
ハイアロクラスタイト(黒破砕)
青黒色の玄武岩が破砕され、角礫状を呈していますが、基質部が少なく、割れた礫が接合できる状況です。これは溶岩流から自破砕溶岩へ移行する過程を示す岩石です。礫状の玄武岩はすべて同質で、斜長石斑晶が確認できます。基質はその後の変質を受け、やや白っぽくなっています。


山北町日向酒匂川河原 ハイアロクラスタイト(黒破砕)
 
ハイアロクラスタイト(緑色急冷層)
礫状に見える岩石と基質の部分は同質であり、斜長石や輝石が認められます。礫状の岩石の主片は急冷されて細粒となっています。したがってこの岩石は火山角礫岩ではなく、輝石安山岩の自破砕溶岩です。安山岩礫中の白濁した球状の結晶は溶岩の気泡を後から埋めた沸石類です。

津久井町早戸川河岸 ハイアロクラスタイト(緑色急冷層)
 
ハイアロクラスタイト(黒色急冷層)
足柄層群
青黒色の角礫はすべて同一の岩石からなり、斜長石斑晶が顕著であり玄武岩であることがわかります。礫の周囲はすべて急冷されガラス質になっています。基質は白味を帯び細粒になっています。水中に流出した溶岩が破砕されて生じたハイアロクラスタイトです。


山北町日向酒匂川河原 ハイアロクラスタイト(黒色急冷層)
 
ハイアロクラスタイト(褐色礫)
本谷川層
赤褐色の岩石を多量に含んだ火山角礫岩のように見えます。礫は白色の斜長石や白色球状の沸石を含み、同質の安山岩礫です。礫の周辺に急冷層を持っているものや、2つの礫が接合できるものもあり、基質部は暗緑色を呈しているものの、水中溶岩流が角礫化して生じたハイアロクラスタイトと考えられます。


秦野市本谷川F5付近 ハイアロクラスタイト(褐色礫)

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