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平塚市博物館プラネタリウム/宇宙137億年
平塚市博物館公式ページ

プラネタリウム投影番組

宇宙137億年

2004年10月9日(土)~12月12日(日)
(毎月第一土曜日午後は別内容になります)


私たちが住むこの世界は、いつ、どのようにしてできたのだろうか、そのまた前はどうなっていたんだろうか、果てはあるんだろうか、そのまた向こうは・・・などと考え出すとどうにも寝られなくなってしまう、なんて笑い話になりそうな宇宙の話が宇宙論ですが、笑ってばかりいられないくらい、いろいろなことがわかってきました。そしてわかってきた以上にまた、なぞも深まってきました。今回のプラネタリウムは、宇宙の果てしない果ての話をお届けします。

オルバースのパラドクス

 もしも星が無限にあるとしたら、どんなに暗い星も無限に重なり合い、空全体を覆いつくすことになるだろう。そうだとしたら、空は夜でも明るくならなくてはならない。こんなことを考え出したのは、19世紀、ドイツの天文学者オルバースです。
オルバースのパラドクス
オルバースのパラドクス

実際の星空は?

 実際の星空を眺めると、星空は、一様に星が分布しているのではなく、天の川が明るく帯状にとりまいていて、天の川のないところは星はまばらに見えます。天の川は私たちが存在する銀河、銀河系を中から見ている姿です。そして、銀河系の星たちだけでは被いつくすことのできない、星の合間からは、銀河の外、宇宙の奥を見ることができます。
銀河座標で見る天の川
銀河座標でみると、銀河が星空を帯状にとりまいていることがわかる

遠い銀河の世界

 銀河は銀河系のような渦巻き型をしたものや、楕円形、不定形など、いろいろな形が見られます。銀河と銀河は大変に遠く、数百万光年の範囲にいくつか存在する程度です。しかし、無限に宇宙が広がり、無限に銀河が存在するなら、やはりオルバースの疑問が出てきます。

銀河の存在は大きな構造を持っている

銀河の分布を調べるうちに、銀河は一様にむらなく分布しているのではなく、数億光年の単位では大きな構造を持っていることがわかってきました。それは、立体的な網の目のような構造で、万里の長城になぞらえたグレートウォールと呼ばれています。いったいなぜこのようなムラが宇宙全体にできたのでしょうか。

宇宙は膨張している

 遠いところにはたくさんの銀河が浮かんでいますが、みな一様に遠ざかるような動きをしていることがわかっています。それも遠ければ遠いほど早く遠ざかるような動きなのです。これをさかのぼると、宇宙は遠い昔にある一点から爆発的に膨張した、というビッグバン宇宙説が唱えられました。

ビッグバン宇宙の発見

ビッグバンの際、超高温だった宇宙がだんだん冷えて、温度が3000万度まで下がったとき、宇宙には光が満ちたとされます。その後、膨張するにつれて宇宙は温度が下がり、いまでは3k(-270度)のなごりの電波が観測されるのです。それこそがビッグバンの証拠とされています。WMAP衛星などの観測結果から、当時の宇宙にも微妙なムラができていたことが観測され、これが宇宙の大規模構造につながった、と考えられています。
WMAP衛星による3K宇宙背景輻射のムラ
WMAP衛星による3K(-270度)宇宙背景輻射のムラ(NASA)
WMAP衛星
WMAP衛星(NASA)

遠くを見ると昔の宇宙が見える

 ハッブル宇宙望遠鏡や日本のすばる望遠鏡が100億光年から128億光年かなたの銀河を映し出してきました。このことは、128億年前の銀河や宇宙を見ていることになるのです。では、宇宙の果ては見えるのでしょうか。我々が捉えることのできる光を出し始めたのが、電波で捉えられましたが、それ以前は捕らえようがないのです。しかし、科学者は今の宇宙の構造から、誕生時のことを理解しようとしています。

宇宙の歴史を語る

 ビッグバン以前の、宇宙の始まりで有力な説として出されているのが、インフレーション説です。
 それによると、真空のエネルギーの量子論的な揺らぎの中から宇宙が誕生した。誕生した宇宙はインフレーションを起こして急速に広がった。その際真空のエネルギーの相転移により、超高温超高圧の火の玉のような状態となり、それがビッグバンへとつながった、というのです。
 宇宙は膨張を続け、30万年後、3000Kまで下がったとき、光などの電磁波が満ち溢れ、その後星や銀河が生まれ、137億年後、現在のような銀河宇宙になったのです。

オルバースのパラドクスは・・・

 宇宙は限りがあり膨張していること、星や銀河が宇宙を覆いつくすほどには存在しないために、夜空は暗い、ということになるのです。

ハッブル宇宙望遠鏡が撮影した銀河
ハッブル宇宙望遠鏡が撮影した100億光年(100億年前)の銀河(NASA/HST)

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