今周期の活動の中で特に際立ったものを挙げるならば、1989年3月と、1991年6月の活動になるだろう。1989年の活動は、当館の観測報告の群番号N43群に代表されるものである。この領域には1988年12月の観測からすでに大型の黒点群が見られ、以後1月、2月と続けて回帰していた。太陽面の東の縁にこれを観測した3月8日には、複数の大きな暗部を抱え込んだH型の黒点群で、その後徐々に東西に長くなり、最終的には経度幅が15°に達するF型群になった。この間、数度にわたるフレアと、マイクロ波バーストが報告され、大きな磁気嵐も観測されたものである。
1991年6月の黒点群は、当館調査報告のN66群で、6月4日から16日にかけて観測した。これもH型から東西に伸び一時はF型になっている。この間、4日に各地で白色光フレアが観測されたのをはじめ、大規模なフレアを頻発して話題になった。当館では6月9日に発生中のフレアを写真に捉えたので後掲した。この黒点群は西没後、翌月E型のN84群として回帰、7月2日から10日にかけて観測されたが、衰退して10日にはA型となり、姿を消した。
この他、厳密にはSIDCの公称した極小後なので23期に含めるべき事象かもしれないが、1996年9月から10月にかけて49日間、観測日数にして20日間にわたる無黒点状態があったことも極小期における顕著な出来事として特筆すべきことがらであった。