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出現位置(緯度)について

太陽黒点活動第23周期の概要

出現位置(緯度)について


 黒点の出現緯度分布は活動期初期は南北半球とも30度~40度の高緯度に出現し、極大期に向けて徐々に出現緯度が低緯度方向に広がり、高緯度での出現が見られなくなる、と言われている。観測できた23活動期の緯度30度以上に出現した高緯度黒点群67群を表2にまとめた。これによると、活動期初期の1997年は年初に北半球に出現が見られ始め、遅れて97年末から南半球にも出現が観測された。最も高緯度に出現した黒点群は、1998年3月8日に北半球に出現したN15群、出現緯度は47度であった。南半球は2001年6月28日に出現したS95群で、緯度-47.0度~-47.5度であった。40度を超える高緯度黒点群は4群が観測された。
 30度台の黒点群は極大期に多く観測され、活動が活発な時期は出現が広い緯度に分布していることを裏付けている。極大期を過ぎた2003年後半からは高緯度黒点の出現も見られなくなった。
 観測された高緯度黒点の規模は、A型10群、B型18群、C型16群、と中小黒点群が大半を占めた。大型群もD型7群、E型4群が観測された。
 図5の蝶型図は、黒点群の出現緯度の分布を時間軸に沿ってプロットしたもので、活動周期ごとに一対の蝶の翅を形成する図である。第23周期が長さが、この図からも漠然と読み取れる。
 これまで活動周期の交代期、すなわち極小の時期には、低緯度に収斂した前の周期の翅の終端が残るうちに、高緯度に出現する新周期の翅の先端が現れていた。通常、黒点活動の周期は極小を境に論じられるが、極小前後には前の周期の活動と新周期の活動が併存する期間が存在するわけである。したがって活動周期の長さをいうならば相対数極小のみでなく、その活動周期に属す黒点群が出現した期間について、触れておく必要があろう。
 さいわい、蝶型図からは新旧どちらのグループに所属する黒点群なのか、比較的容易に区別できる。そこで、蝶の翅の輪郭部分に注目し、それぞれの活動周期の翅を形成する最初の黒点群から最後の黒点群までの期間を表1に示した(所属が曖昧な群は除いた)。前のふたつの活動周期に対し、23期の翅の輪郭の長い点が数値的にも確認できよう。出現緯度の幅に大きな差は見られないので、23期の蝶型図は、翅を時間軸に沿って引き延ばした姿になっているわけである。
 以上から、第23期は、従来より長く緩やかに継続したと結論しておきたい。
 この他に、この図では北半球の蝶の羽が、南半球よりも早い段階で途切れていることに気づく。大型群のプロットでは、よりわかりやすくなっている。北半球相対数のグラフ(図2)にはこれが反映していると考えられる。
 また、他の活動周期にも言えることではあるが、羽の中に穴やほつれがある。目立つのは2000年年初ころの北半球緯度30度台の穴であるが、大型群のプロットの欠落から見直して行くと、他にも数か所、出現が薄かったり、欠けているところが見出せる。これらは、ある期間、その緯度付近への出現が乏しくなっていたことを示している。
 さいごに、蝶型図には第24周期の開始がとらえられている。2008年以降高緯度に出現している黒点群がそれである。ただ、22、23期の始動時に比較すると、出現の密度(頻度)が希薄に思えてならない。南半球の出現緯度が偏っている点も気になるが、まだサンプル数が少なく、これらについては予断を許さぬと述べるにとどめておきたい。

 



図2
月別平均相対数の推移
(南北別)

図5
黒点群出現緯度の分布
(蝶型図)

表1
黒点群出現緯度の分布
(大型群のみ)

写真2
1998年3月3日
高緯度黒点とXクラスのフレア

写真5
2004年7月23日
低緯度の大黒点とフレア

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