火星大接近 2003 (火星の素顔 探査機の画像から)

地下に水の存在を求めて

平成15年秋季特別展図録 平成15年10月発行


火星の地下に存在する氷を測定したもの
 上の図は、アメリカの火星探査機、マーズ・オデッセイの中性子分光計が測定した、火星の地下に存在する氷を測定したものです。宇宙から火星に降り注ぐ宇宙線が、地中の水分子に作用して、中性子を放出します。マーズ・オデッセイは、この中性子線強度を観測して、地中の水(氷)の量を測定しました。これによると両極と赤道付近に存在する地域が広がっています。
 火星には永久凍土が作るポリゴンと呼ばれる地形も高緯度地域に見つかっています。また、ガリーとよぶ雪解け水が浸食した溝ではないか、と思われる地形も数多く見つかっています。
 火星表面に見られる河川に似た地形、洪水のあとのような地形など、大量にあったはずの水が今、地下に永久凍土の形で蓄えられているはず、という仮説の有力な証拠になっています。



極地方に見つかったポリゴンと見られる地形
 NASA/JPL/MSSS



クレーターのふちに見られる黒いすじ状のガリー
 NASA/JPL/MSSS