火星の火山は主にタルシス地域、エリシウム地域、ヘラス地域、という三つの地域に集中しています。このうち、タルシス地域が最も大きく、また、年代的にも新しく、ヘラス地域が最も古い、と見られています。火星の大きな火山の特徴は、盾状火山の形態を見せているものが多く、これらの火山が粘性の低い玄武岩質溶岩の噴出で出来たことを意味しています。 タルシス地域の火山 火星表面の経度8 0縲鰀1 6 0度、緯度北緯4 5度から南緯4 0度に広がる広大な高地です。その高さは基準大気面から高度8 k mから1 0 k mにも及んでいます。 ここには火星の中で最も高いオリンポス山をはじめ、大型の盾状火山が集中しています。なかでもタルシス三山と呼ばれる、巨大なアルシア山、パボニス山、アスクレウス山はそれぞれの直径が3 0 0縲鰀4 0 0km、山ろくからの高さは1 7km、それぞれ6 0 0縲鰀7 0 0 k m隔てて北東から南西方向に直線状に並んでいます。 オリンポス山は太陽系最大の火山と形容される、雄大な盾状火山で、その直径は7 0 0 k m、高さは2 5km、山頂にみられるカルデラの火口部分で直径7 0kmもあります。 周辺には高さ6 k mもの断崖が周りを囲んでおり、地球の火山島のようなイメージでもあります。 | |
オリンポス山 | |
タルシス地域 左端にオリンポス山、中央右がアスクレウス山、下端にパボニス山が見えている | |
エリシウム地域 エリシウム地域は、北半球に位置し、比較的新しい溶岩平原の中にあります。タルシス地域に比べ、さしわたし2 0 0 0 k mと、規模は大きくはないですが、エリシウム山、アルボア・ソーラス、ヘカテス・ソーラスの三つの火山が、見られます。なかでも、エリシウム山は高さ8 k mほどの、ゆるやかな富士山型をした、成層火山のように見えます。 | |
下からアルボア・ソーラス、エリシウム山、ヘカテス・ソーラス NASA/JPL |
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エリシウム山の遠景(カシミールで作成) | |
ヘラス地域 直径2 3 0 0 k mという巨大なクレーター盆地がヘラス盆地です。その北東地域にクレーターの少ない地域があります。ヘスペリア平原と呼ぶその真中にあるのがチレーナ・パテラ火山です。他の地域の火山と比べ、非常に低く、風化が進んでいるように見えます。 | |
チレーナ・パテラ NASA/JPL |