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蜜を吸う

野鳥の観察 (4.食べる)

蜜を吸う

ガイドブック14 野鳥の観察 平成7年3月発行

花の蜜は栄養価が高く、鳥にとって魅力のある食料の一つです。しかし、日本の植物では多くの花は昆虫が花粉を媒介するようになっていて、蜜の量は少なく、しかも花の奥に隠されているので鳥には利用が困難です。数少ない例の一つはヤブツバキで、この花は赤く緑の中でよく目立つこと、大 きくてがっしりした構造を持っていること、大量の蜜を出すこと(花の中心に指をいれて確かめてみましょう)、初冬から晩春まで長期間にわたって咲き続けることなど、鳥が蜜を吸い、その時に花粉を運ぶのに適した性質を持っています。ヤブツバキの蜜を吸いに訪れ、その花粉を運ぶ鳥としてはメジロとヒヨドリがあげられます。これらの鳥は、ヤブツバキ以外にもいろいろな花を訪れて蜜を吸います。どんな花にきたか、チェックしてみましょう。
メジロもヒヨドリも熱帯に多くの仲間がいるグループです。後で述べるように花の蜜を吸う習性は熱帯の鳥で発達しており、ヤブツバキの蜜をこれらの鳥が吸っている光景は、寒い時期に見られるのに、熱帯的な光景といえるのです。
日本の植物で他に鳥が花粉を運ぶと言われている種類には、ヤッコソウ・ハマジンチョウなどがあります。

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☆チェック☆49表

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★熱帯の鳥と花蜜
1年中花が咲く熱帯には花蜜を吸う多くの鳥がいます。アメリカ大陸のハチドリ類、東南アジアからアフリカに分布するタイヨウチョウ類、オーストラリアのミツスイ類はその代表です。これらの鳥では、舌が蜜を吸うのに適した構造になっています。メジロでも同じような舌構造が見られます。


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★サクラの花を食べるスズメ
1980年代の後半から、スズメがサクラの花を食べることが各地で観察されるようになりました。この行動は、詳しい観察の結果、花の付け根をかみやぶって中の蜜を食料として利用しているのだということが明らかにされました。湘南地域ではまだ、この行動の報告例がありません。サクラが咲いている季節には、ぜひ気をつけたいものです。

☆チェック☆50表
★樹液を吸う
クヌギやコナラ、ヤナギ類などの樹液は、傷口からしみだすと発酵して独特の匂いを放ち、カブトムシ・スズメバチのような多くの昆虫をひきつけます。鳥の場合には発酵している必要はないようですが、しみ出た所にメジロがやってきて吸っているのを見かけます。




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