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4月 流木とエボシガイ

平塚の水辺 (海辺の自然)

4月 流木とエボシガイ

最終更新 1999年9月

 砂浜には、時々流木が流れ着いています。川にダムができてからは、山の中から流れ出してくる木が減り、以前に比べると流木の数もずっと少なくなったといいますが、それでも時には一抱えもあるような木が流れ着いていることがあります。もっとも、丸太になっているものは、沖合で荷崩れを起こした木材運搬船の置きみやげのこともあるようですが・・。
 そうした流木を見つけたら、その表面のようすに注意してみましょう。ある程度の期間、海面を漂っていた木なら、ほとんど例外なく、三角形の白い殻を持った動物がついているはずです。この動物には茶色い柄がついており、その柄は時には10cm近くも伸びています。打ち上がった直後だと、まだ生きていて、柄をくねくねと動かしていることもあり、そのようすは、ギリシャ神話に出てくるメデューサの首のようで不気味なものです。
 この動物は、エボシガイという名を持っていますが、エボシの名はもちろんその三角形の殻の形からつけられたものです。カイと名はついていても、巻き貝や二枚貝のような貝類とは縁が遠く、フジツボに近い仲間です。節足動物の甲殻類に所属しているので、大きく言えばカニやエビの親戚筋の動物といってよいでしょう。
 エボシガイの幼生はプランクトンとして、海中を泳ぎ回っており、成長のある段階が来ると海面に浮かんだものにとりつき、そこに定着した生活を送るようになります。白い殻の中には、熊手のような触手があり、それで手招きするように水流を起こして、引き寄せられたプランクトンを食べています。
 エボシガイは、海面に浮かんでいるものなら、何にでもとりつくので、流木だけでなく、ペットボトル、ポリ袋、浮き、空き瓶などの人工物についていることもあります。時には、重油の固まったボールについていることさえあるので、注意して探してみましょう。

エボシガイのついた流木


近寄って見ると

エボシガイの体



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