平塚・石仏めぐり-旧市内編- (3・旧馬入村)

馬頭観音


真福寺墓地の一角には馬頭観音の文字塔3基も並んでいます。馬頭観音は文字どおり馬の供養のために建立されたものです。3基の塔はいずれも根府川石を材料とし、1基には「馬頭観世音菩薩 世話人 當所馬持中 安藤善四郎 鈴木新太良 内田半四良 鈴木忠八 杉山宗八 安政五年十二月吉日」、1基には「馬頭観世音菩薩 世話人 江戸京橋柳町 喜多村半之助 慶應元年在乙丑夏閏五月廿二日」、もう1基には「馬頭観世音 大正十年三月建之 三橋福三」と刻まれています。
安政5年(1858)の塔は、馬入の五人の馬持ちが世話人となって建てられたものですが、この馬は農耕用というよりも荷物の運搬用だったと考えられます。平塚市内の馬頭観音は1ヵ村に2、3基ずつのわりあいになりますが、そうじて水田地帯の村には数が少なく、建立されているとしても明治以降という傾向があります。このことからは江戸時代には、農耕にはあまり利用されなかったことがうかがえるわけです。
なお、馬持中の人たちは当地の農民で、江戸時代にも現在と同じように苗宇があったのがわかります。

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