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平成14年7月

平塚の考古資料50選

43. 役人・僧侶が使用した古代の硯(風字硯


遺跡名 下ノ郷廃寺跡(平塚市四之宮字稲荷前)
大きさ 左長さ6.7 ㎝
    右長さ3.3 ㎝
年 代 平安時代(9 縲鰀 10 世紀)

昭和36・37 年の高林寺境内の調査により風字硯が発見されました。この遺跡は礎石の下に敷く根石や瓦、仏像、緑釉陶器等が出土したことにより、古代の寺院とされ、「下ノ郷廃寺跡」としてよく知られています。
当時、紙が大変貴重であったため、役人は木簡と言う木の板に文字を書き、その時に刀子が必要なことから「刀筆吏」と言われました。そのほかに、硯・筆・墨・水差しの道具が必要となります。硯は大きく風字硯と円面硯に分けられ、さらに、緑釉陶器、灰釉陶器、須恵器や転用硯が使われました。本資料は畿内で生産された黒色土器の風字硯で、県内でも大変珍しい貴重な資料と言えます。
この風字硯が出土した遺跡は寺の講堂跡と推定されていましたが、出土遺物と遺構の再検討から、寺院の可能性を残しながら、同じ官衙建物でも国司館を想定する見解も生まれています。周辺遺跡の解明が重要課題の一つと考えます。


風字硯

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