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湘南平の隆起と小向断層

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最終更新 2007年12月

湘南平の隆起と小向断層


湘南平が平らなのは?
 平塚八景の一つである湘南平は何故平らなのでしょうか。江ノ島に行くと、波打ち際に岩場が広がっています。この岩場は大正12年(1923年)関東地震の際に、海底にできていた波食台が隆起したものです。湘南平が平らなのは、江ノ島と同じように、こうした地震のたびに、かつての波食台が何度も隆起を繰り返し、徐々に高くなったものだからなのです。湘南平が波食台であった時期は12〜13万年ほど前の海進期(下末吉海進と呼ばれる世界的な温暖期)であることがわかっています。テレビ塔の南側の遊歩道沿いにはこの波食台の岩盤(高麗山層)が平らに露出しています。波食台上には小さな海浜礫がみられることがあります。この波食台は浅間山や高麗山などでも確認され、湘南平では南西に傾動しています。
■小向断層と吉沢面の変位
 湘南平と同じ時期に形成された地層(吉沢層)が高根の沢で見られ、湘南平を作る岩盤(高麗山層)と断層で接しています。断層面の下盤側に高麗山層が、上盤側に軽石層を頻繁に含んだ吉沢ローム層が重なり、分岐した小断層で寸断されています。大きな断層でも、未固結の第四紀層を切ると、このように枝分かれした数多くの断層が生じます。吉沢ローム層の下には穿孔貝の孔のある礫を含む礫層が見られます。上に吉沢ローム層が重なることから、この礫層は吉沢層であることがわかります。この小向断層を挟んだ吉沢面(吉沢層の堆積面)の高さは、湘南平と高根で120m食い違っています。従って、小向断層は1m/1000年の割合で隆起を繰り返している計算になり、A級の活断層と認定されています。
■湘南平周辺の断層
 湘南平地域には小向断層の他に、湘南平と子供の森との間に千畳敷中央断層が、湘南平の南側に千畳敷南断層が走っています。前者は70m程度、後者は30m程度吉沢面を変位させています。また、小向断層や千畳敷南断層の東方延長は、高麗山東側の花水川沿いに走る北北西−東南東走向の断層により寸断されているものと考えられます。それは、花水川を隔てて、平塚側では高麗山を作る高麗山層が急激に落ち込み、基盤を刻む沖積層の直線的な谷地形が認められるからです。

湘南平は隆起した波食台 現在の波食台
▲波食台が隆起してできた湘南平
▲波で作られた波食台(藤沢市江の島)
東西性の湘南平の活断層 穿孔貝の孔はかっての汀線を示す
空から湘南平の東西性の活断層を望む(左より小向断層、千畳敷中央断層、千畳敷南断層) ▲かつての汀線を示す穿孔貝の孔を持つ吉沢層の礫  (平塚市高根)
湘南平から望む千畳敷南断層谷 湘南平山頂付近に見られる隆起した高麗山層の岩盤
▲湘南平から千畳敷南断層の谷を望む
▲波食台を示す高麗山層の岩盤(湘南平テレビ塔南)
二階常設展示の小向断層剥ぎ取り標本 小向断層の露頭
▲小向断層の剥ぎ取り標本(博物館展示室)
▲小向断層の露頭(平塚市高根)左写真はこの剥ぎ取り


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