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平塚周辺の地盤図

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最終更新 2007年12月

「平塚周辺の地盤図」


 平塚周辺の微地形の区分・軟弱地盤の厚さ・活断層の分布などを網羅して 「平塚周辺の地盤図」を25,000分の1の縮尺で作成しました(下図)。この図には以下の7項目が掲げられています。 地震と地盤という地震防災上の観点からだけでなく、我々が住む大地の地形や地盤、生い立ちや地殻変動について理解を深めると共に、住みよい街作りに活用していただけたらと思います。
■ 相模平野の微地形分類図
 相模平野の微地形は、相模川・金目川沿いに広がる自然堤防・後背湿地地帯と、平野南部を占める砂州・砂丘地帯に二分できます。平野の表層の土質、軟弱地盤の厚さ、土地の高低は微地形毎に異なるので微地形を理解することで、推測することができます。古くから人々は、微地形を把握し、自然堤防を集落や畑に、後背湿地を水田に利用し、用水をめぐらせ土地を有効に活用してきました。土地利用と併せて用いると、新たな発見があるでしょう。この地形分類図は自然の地形の分類図であり、埋め立てや平坦化がなされている場所では、それ以前の地形を示しています。この図は、空中写真判読・明治以降の地形図解析・平塚市発行の1/2500地形図解析・遺跡発掘現場での地質調査・現地地形調査を元に作成したものです。
沖積層基底等高線図
 平野を埋める沖積層の基底高度の等深線で、約1.8万年前の最終氷期の地形を示します。沖積層の厚さはこの高度にその地点の標高を足したものになります。かつての金目川は、現在と大幅に異なる流路をとり、中原を通って相模川に注いでいたことがうかがえます。かつての相模川は、ほぼ現在の位置を流れ、-90mに谷底があったことがわかります。旭地域には広い波食台が広がり、沖積層の基底が比較的浅いところに位置することが読みとれます。この図のうち、平塚市域については、博物館所蔵の3419箇所のボーリング資料(柱状図及び標本)を解析したもので、平塚市域外及び市域東海道線以南については、神奈川県(1971),貝塚・森山(1969)を参考にしました。
■軟弱地盤層厚図
 沖積層のうち、N値が10以下の地層(軟弱地盤という)の層厚を示しています。軟弱地盤の厚さは砂州・砂丘地帯で薄く、後背湿地や谷底平野で厚くなっています。軟弱地盤が最も厚いのは、岡崎の谷底平野と金目の旧河道で20m以上に達します。この図は博物館所蔵のボーリング資料を平塚地質調査会との協働で解析したもので、平塚市域のみ表現してあります。
■活断層図
 活断層とは、第四紀(180万年前以降)に動き、今後も活動することが推定される断層を言います。活断層の歯(短線)は上下方向の変位の向きを表し、相対的に沈降している側を表します。破線は推定断層を示します。この図の平塚市域の活断層は吉沢面(吉沢層の堆積面)を5m以上変位させている断層を示してあります。断層を挟んだ吉沢面の高度の相違が断層の変位量にあたります。この図では丘陵縁辺や直線的な谷地形の箇所に活断層が走っているのがわかります。これらの活断層の活動時期はほとんど不明ですが、一般に活動周期は数百年〜数千年と極めて長いのが特徴です。この図のうち、平塚市域については、平塚地質調査会との協働で行った野外断層調査、博物館所蔵の3419箇所のボーリング資料(柱状図及び標本)解析に基づき、平塚市域外については活断層研究会(1991)や東郷他(1996)等を引用しました。
吉沢面高度等高線図
 約12〜13万年前の下末吉海進期の堆積物である吉沢層の堆積面(吉沢面)の高度分布を等高線で示してあります。緑印は堆積後の傾動方向を示します。この吉沢面の高度の変位から活断層が推定されます。平野下に推定した活断層も、この吉沢面の高度分布や基盤の変位から推定したものです。吉沢面の高度の高い湘南平や鷹取山付近がこの地域で最も隆起が活発であることも示します。この図は、市域の活断層を解明するため、平塚地質調査会との協働で行った野外断層調査(地点を表示)及び、博物館所蔵の938箇所のボーリング資料(柱状図及び標本)解析(地点を表示)に基づき、作成したものです。
■地質断面図の位置
 平塚・茅ヶ崎地域の地質断面図の作成位置を示します。断面図は展示解説書に掲載しました。この地質断面図は博物館で収集した数多くのボーリング資料に基づいて作成したものです。図では沖積層の層序や沖積層下に埋没した段丘・地層の傾きなどが読みとれます。沖積層の厚さは平塚で厚く、茅ヶ崎で薄いことがわかります。
■過去の地震の液状化地点図
 1923年大正関東地震と、それ以前の地震による液状化地点を示しました。相模川沿いや金目川沿いの自然堤防・後背湿地地域で数多く発生しているほか、台地上でも、平塚市上吉沢や茅ヶ崎市堤などで認められます。

伊勢原断層による変異量
▲平塚周辺の地盤図 (地盤図の一部. 国土地理院発行の2.5万分の1地形図「平塚」「伊勢原」 を使用。承認番号 平19総複 第238号)

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