わたしたちは「相模川流域の自然と文化」をテーマに活動している地域博物館です

5 深海のシロウリガイ
5 深海のシロウリガイ



●シロウリガイとは
 1984年、海洋科学技術センター(現海洋研究開発機構)により相模湾の初島沖水深1160mで大量のシロウリガイが見つかりました。当時、シロウリガイはプレートが生まれる熱水噴出域に群生していることは、既に明らかにされていましたが、プレートの沈み込み冷水域では初めての発見でした。こうした深海に棲むシロウリガイは、断層沿いに海底下の地層から湧き出す冷湧水に多量に含まれているバクテリアをえらに共生させて、その化学合成によりエネルギーを得るという全く特異な生態系を持つことが知られています。

深海に生息するシロウリガイの化石
(逗子市池子産。プレートの湧き出し口
や沈み込み口に生息する。)


●相模湾のシロウリガイ
 相模湾では相模トラフ東側の沖ノ山堆列とトラフ西側の初島沖の水深1000m以深の8ヶ所でその存在が確認されています。相模湾には中央に相模トラフと呼ばれる水深1000mを越える海底谷があり、フィリピン海プレートが本州側のプレートに沈み込んでいるプレート境界といわれています。日本ではこうした深海を持つ湾は駿河湾と富山湾を含めて3つしかありません。相模湾のシロウリガイの分布は、いずれも相模トラフに沿う急崖にあり、プレートの沈み込みをうらづけるものです。
 展示してある逗子市のシロウリガイ化石は横浜防衛施設局から寄贈いただいたもので、現生種とはやや異なる化石シロウリガイで、約300 万年ほど前の逗子層から産したものです。かつてここが、現在の相模湾のような深海のプレート境界であったことを示しています。


シロウリガイ化石(逗子市池子産 逗子層)

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