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相模川の生い立ちを探る会 大地の声2

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 「相模川の生い立ちを探る会」

大地の声を聞く(2)


 ここでは、「相模川の生い立ちを探る会」に参加している会員の方々が大地に触れ、感じとった大地の声を聞いてみましょう。

■富士宝永噴火
 富士宝永火口の縁に立ってみると、半月余りの噴火活動でできた巨大な火口に驚かされます。その直径は山頂火口より大きく、西壁には何本もの岩脈がみえます。それは地下のマグマがあがってきた通り道だそうです。宝永噴火はたった300年前の出来事です。新富士火山1万年の間の活動は、溶岩流にできた風穴、噴火で飛んだ火山弾、降下火山灰の堆積層など山麓のあちこちで垣間見ることができます。地質の話を聞いていると、最近が1万年、10万年の単位です。今地下に蓄えられているエネルギーは、今後、どんな形で地上に現れてくるのでしょうか?(N.S)
宝永火口
江戸期に噴火した宝永火口を望む
氷穴の溶岩
氷穴にみられた下位の地層を真っ赤に焼く溶岩流
■火山の声
 大地の声をじかに聞くには、火山が一番。噴火をじかに体験したことはないが、噴火後何百年たっても、その強大な力を感じることができる。たとえば、富士山の宝永火口。ぱっくり抉られ、荒くれた岩だらけの火口の中に身を置くと、強烈な噴火がもたらしたなんとも不思議な静寂に包まれる。いつかは、この静寂が破られて、その強大な力を見せつけるときがくるのだろう。2003年7月、「探る会」で行った、富士山北面の「氷穴」(こおりあな)も、火山の雄叫びを今に残している。薄暗い火口の奥は、真っ赤に焼けた岩。身をよじり、我が身を焼いた大地の胎内にいるような恐れを感じる。いつかは、自分の目で、大地の雄叫びを聞き、真っ赤な溶岩を見てみたい。(T.E)
■箱根外輪山を歩く
 秋晴れの日曜日、箱根の古期外輪山の尾根を明星ヶ岳から明神ヶ岳へと歩きました。大文字焼きの大の字のところで、眼下に早川の渓谷と神山・二子山などのすばらしい展望を満喫しました。箱根が大陥没してカルデラを形成した後に、その中にマグマが盛り上がり二子山・駒ヶ岳等の溶岩円頂丘を作ったことが、地形からよく読みとれます。ススキの波をかき分けるように進むと、途中で黄橙色の火山灰層を観察。2.5万年前に鹿児島湾を形作った姶良火山からの火山灰でした。明神ヶ岳の山頂では箱根火山が溶岩と火砕物とが交互に噴出して形成されていることがよくわかり、興味の尽きない秋の一日でした。(A.T)

駒ヶ岳を望む
宮城野から駒ヶ岳などの箱根中央火口丘を望む
芝川の富士溶岩
礫岩層を覆う富士の芝川溶岩は上流へ逆流した
■ 富士の溶岩流
富士宮市の南西、周囲を富士川に囲まれた瀬戸島の内房橋下を訪れました。ベージュ色の部分は丸みを帯びたレキを大量に含む礫岩層。亀甲状の亀裂を見せながらそれに覆い被さる黒い溶岩の層。庵原層群礫岩を不整合に覆う富士芝川溶岩の姿です。本来、この地点より下流側にある芝川に沿って流れてきた溶岩流が富士川を逆流してこの付近に至ったという説明をうかがったとき、粘性の低い溶岩が煮えたぎり湧き返りながら押し寄せる光景はさぞや壮絶なものだったろうと、しばし想像の世界に遊んでしまいました。(KH)

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