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相模川の生い立ちを探る会 ■254回「葛川流域の地形1(下流編)」

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「相模川の生い立ちを探る会」 活動の記録

第254回 2014年4月19日 

二宮~中井町厳島湿性公園



■ テーマ:「葛川流域の地形1(下流編)」
■ コース:二宮駅~二宮~中里~一色~井ノ口~厳島湿性公園

 今回は大磯丘陵を流れる葛川沿いを歩きながら、段丘地形や地層の観察を行いました。最初に二宮駅南側の駐車場で今回の目的の確認や新入会員の自己紹介などを行いました。また、このあたりは約6000 年前の縄文海進の時期に形成された海成段丘(中村原面という)で、その上に砂丘が形成されていると森先生から説明いただきました。 二宮駅から東北東に進むとしばらくは平坦な道が続きましたが、250 mほどの地点で、さらに下位の平坦面との間に高さ約5 mの崖がありました。この下位面はかつて葛川が削った面、すなわち数千年前の河成段丘であるとのことでした。現在の葛川はそこからさらに数m下位の場所を流れていました。 葛川を渡って北西に歩くと、東海道線の高架付近で、道路(秦野-二宮線)から 2.5 m高い場所に平坦面が観察できました。この平坦面は先に観察した中村原面よりは低位の段丘面と考えられるとのことでした。 そこからさらに北西に2.5 kmほどにある二宮町一色の御堂ノ上陸橋の上で、北北西-南南東に延びる葛川と葛川が作った谷地形や段丘を遠望しました。葛川に沿って広がる谷は幅200 m以上あり、現在の葛川の川幅からはあり得ない程に広いものでした。これは河川争奪の結果であり、現在の金目川や水無川が、かつては葛川に流れていたためと考えられるとの説明がありました。そこから下った場所でみた葛川の河床には丹沢山地由来のグリーン・タフ礫がみられ、丹沢山系に端を発する金目川がかつて葛川に注いでいたことを裏付けているようでした。
 二宮町の葛川沿いには、大磯丘陵の基盤をなす第三系の鷹取山礫岩層や、第四系の二宮層の泥岩層が露出しているのも観察しました。
 中井町井ノ口では葛川の旧河道を示す荒れ地(かつては水田)と、葛川が作った数段の段丘を観察しました。最後に到着した厳島湿性公園では段丘礫層から思われる湧水を観察し、ここが葛川の源流の一つであることを確認しました。
(A. N.).

相模湾の展示パネルを見る 相模湾の特徴を解説した展示
▲二宮駅前で、目的やコースの説明を聞く。 ▲6000年前の海成の中村原面(左側)と低位の河成段丘 (二宮町二宮 駅東方)
飼育員の説明を聞く 硫化水素ガスだけで生きているサツマハオリムシ
▲鷹取山礫岩層の露頭を観察する (二宮町二宮 花月橋際) ▲葛川河床に露出する二宮層を観察する (二宮町中里)
新江ノ島水族館より江ノ島を望む 池子層に似る聖天島の地層の説明を聞く
▲葛川にはいつくもの堰が設けられている(二宮町一色) ▲葛川沿いの段丘地形を展望する (二宮町一色)。
水流の流れを示す斜交葉理 中津宮から腰越方面を遠望する
▲傾いた二宮層の泥岩層を観察する (二宮町一色 せせらぎ公園北)。 ▲段丘を覆う関東ローム層 (二宮町一色)
箱根東京テフラの厚さを測る 南北性の断層により形成された山二つのくびれ部
▲葛川の河床には丹沢起原のグリーン・タフ礫が目立つ (二宮町一色 上北根橋) ▲最も新しい葛川低地に見られる旧河道。水田が荒れ地となっている (中井町井ノ口 五分一橋)。
葉山層群の波食台露頭と乗船場を望む 山二つを海上より遠望する
▲厳島湿性公園へ向かう。 ▲厳島湿性公園の湧水池 (中井町井ノ口)


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