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相模川の生い立ちを探る会 2013年5月 「照ヶ崎~高麗の地形と波食台」

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「相模川の生い立ちを探る会」 活動の記録

第243回 2013年5月12日 大磯駅周辺・高麗



照ヶ崎~高麗の地形と波食台
■ コース:大磯町エリザベス・サンダースホーム周辺~鴫立沢~照ヶ崎海岸~化粧坂~善福寺

 

 今回は、国道1号線を中心に地形を観察しながら北に行き南に戻りを繰り返し、標高を測りながら、何段かの段丘地形を観察しました。また、大磯層の露頭や海浜礫なども観察しました。
 大磯駅前の、エリザベス・サンダースホームの石垣は大磯層の岩盤を切り出したもので、この近辺ではしばしば石垣として使われているそうです。愛宕神社の切り通しでは大磯層の軽石に富んだ地層を観察し、層理が見えないことから「火砕流が堆積したものであろう」ということでした。鴫立川では川底に大磯層の波食台が露出していました。
 照ヶ崎海岸では、海浜に打ち上げられた扁平な礫、波の作用で同じ向きに並ぶインブリケーションと呼ばれる堆積構造を見ました。また、中礫が打ち上げられる所と小細礫や砂が運ばれる所が交互に入れ替わり、孤を描いて分布するビーチカスプと呼ばれる堆積構造も観察しました。これらは初めて知ったことでした。また、この海岸では現在作られつつある波食台が水面下にあり、それより約1 m高いところには満潮時にも海面下に没しない大正関東地震(1923 年)の波食台が見られました。さらにそれより高い所にも平坦な地形がみられ、先生は、元禄地震(1703 年)によって隆起した波食台かもしれないと話されました。
 次に、海岸から大磯駅を経て、国道1号線にかけての平野の地形を観察しました。海岸では標高3mほどですが、国道1号線から大磯図書館にかけて標高10 m、大磯駅付近では標高20 mと高くなっていました。先生はこの3 つの平坦面を海成段丘面として、低位面(押切面)、中位面(前川面)、高位面(中村原面)とされました。旧東海道から国道1 号線にかけては中位面と低位面が認められました。大磯には3 段の海成段丘面の存在することがわかりました。段丘面がどこにあるのかを見つけることは大変難しいのですが、現地で先生の説明を聞いて少しはわかったような気がしました。
 その後、JRと国道1 号線が交差する化粧坂手前では、国道沿いに高さ3 mほどの直立した地層が露出していました。この岩盤は高麗山層で、かつての波食台が隆起したものであるとの説明がありました。最後にみた善福寺境内でも、同様の岩盤の波食台が見られ、数千年前の汀線であるとの森先生の説明に納得しました。(F. S. )

                

愛宕神社手前で前川面の高さを測定 大磯町の津波に対する海抜表示板
▲前川面の高さを測定する(愛宕神社手前)。 ▲大磯町の津波に対する海抜表示板。
鴫立沢の大磯層の波蝕台 照ヶ崎西の大磯海岸と背後のの砂丘列
▲鴫立沢にみられる大磯層の波食台。 ▲照ヶ崎西の大磯海岸と背後の砂丘列。
照ヶ崎海岸の全景 照ヶ崎海岸の海浜礫のインブリケーション
▲照ヶ崎海岸の全景。 ▲照ヶ崎海岸の海浜礫のインブリケーション
照ヶ崎に見られる現世のヤッコカンザシ 照ヶ崎の波食台下部に見られる現生のヤッコカンザシ
▲照ヶ崎に見られる現生のヤッコカンザシ。 ▲照ヶ崎の波食台下部に現生のヤッコカンザシが生息する。
大磯層の露頭を観察 化粧坂西の高麗山層の波食台の高さを測る
▲大磯層の露頭を観察。 ▲化粧坂西の高麗山層の波食台の高さを測る。


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