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相模川の生い立ちを探る会 第241回 2013年3月 「房総の黒滝不整合」

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「相模川の生い立ちを探る会」 活動の記録

第241回 2013年3月31日 南房総勝浦


 
■ 房総の黒滝不整合
■ コース:千葉県勝浦市 勝浦海中公園~吉尾港~ボラの鼻
 

 今回は房総半島東海岸で、三浦層群と上総層群の境界である黒滝不整合の観察と、地層を対比する上で重要となる三浦層群中の鍵層凝灰岩の観察を行いました。海岸沿いの観察が主となるため、春の大潮の日を選んで観察を実施しました。
 不整合は地層が堆積した後に構造運動などによって地層が陸化して大規模な浸食を被ると形成され、下位の地層との間に長期の堆積の不連続が生じたことを示します。黒滝不整合は房総半島と三浦半島の両半島にまたがる三浦層群と上総層群の境界です。三浦半島においては現在その有無について議論がなされています。房総半島東部にある黒ヶ鼻、通称ボラの鼻と呼ばれる岬には高さ30 m以上の大露頭があり、明瞭な不整合面と基底礫層とされる黒滝層をはっきりと観察できました。不整合面のすぐ上の地層(上総層群黒滝層)は最大径2 mにも及ぶシルト岩の巨礫を含む砂礫岩層からなっており、下の地層である三浦層群清澄層を大きく削りこんでいました。南北性の正断層が上総層群と三浦層群の両方を切っており、大規模なものでは30 m以上の変位が認められました。
 また、房総半島東海岸沿いにある勝浦海中公園周辺では、三浦層群清澄層がよく露出しており、Ky21 に対比される凝灰岩層が観察できました。この地点におけるKy21 は層厚約60 cmのゴマシオ状軽石質凝灰岩層で、その上位の層厚40 cmほどのスコリア質凝灰岩層とセットで観察されました。この組み合わせがKy21の特徴のようです。Ky21 は三浦半島では逗子層中の火山灰鍵層であるHk 凝灰岩に対比されています。(A. N. )


勝浦海中公園東の海岸にみられる三浦層群清澄層の露頭 HK凝灰岩の直上に狭在するスコリア質凝灰岩層
▲勝浦海中公園東の海岸にみられる三浦層群清澄層の露頭。 ▲Hk凝灰岩の直上に狭在するスコリア質凝灰岩層。級化構造がよく見える。
清澄層中に狭在するHK凝灰岩 勝浦海中公園付近に露出する清澄層
▲清澄層中に狭在するKy21(Hk)凝灰岩。ゴマ塩状を呈する軽石質凝灰岩層である。 ▲勝浦海中公園付近に露出する清澄層の露頭。
勝浦海中公園東の清澄層の露頭 波によって作られた構造(リップルマーク)
▲勝浦海中公園東の清澄層の露頭。 ▲波打ち際の砂にみられる、波によって作られた堆積構造(リップルマーク)。
波状の堆積構造(コンボリュート葉理) ボラの鼻にみられる黒滝不整合
▲清澄層中にみられる波状の堆積構造(コンボリュート葉理)。 ▲ボラの鼻にみられる、三浦層群と上総層群の境界である黒滝不整合。
不整合面直上の巨礫を含む礫岩層 泥質岩の巨礫を含む黒滝層の転石
▲不整合面直上の巨礫を含む礫岩層(上総層群黒滝層)。 ▲泥質岩の巨礫を含む黒滝層の転石。


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