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相模川の生い立ちを探る会 2007年1月 「大磯」

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「相模川の生い立ちを探る会」 活動の記録

第182回 2007年4月22日 

三浦半島先端の三崎層


三崎層の構造

3月に、筑波大学大学院の小川勇二郎教授を講師にお招きして、「三浦半島の三崎層」をテーマに剱崎の海岸をご案内いただく予定でしたが、雨天のため中止となってしまいました。小川先生のご厚意で、4月に再度実施することとなりました。幸い、朝方降っていた雨は上がりましたが、風が強く、剱崎〜毘沙門を歩く予定のところを、剱崎周辺の三崎層に絞っての観察に切り替えました。三崎層中に挟まれるスコリア層が、低角度の逆断層で何度も繰り返していること(デュプリケーション)、その繰り返しが見られる場所は、ある場所に集中して起きていること、地層の構造も背斜や向斜、ドーム構造がいくつも見られ、逆断層とも関係していること、また、圧縮応力場で形成された三崎層中にも、正断層がいくつか見られ、逆断層を切ったり、逆断層に切られたりしていることを、ご案内いただきました。正断層・逆断層と向斜・背斜・ドーム構造がどういう時期にどのような応力場で形成されたものか、三崎層の本州への付加とどのように関係するものなのか、まだまだ未解決な問題も多く残っていると言うことでした。こうした剱崎の構造は基盤の凹凸の影響を受けているのか、衝突付加による逆断層に起因するのか、地滑り性のものがあるのか、の三つの可能性が指摘されました。波食台と海食崖が続く三浦半島は、水平的にも垂直的にも地層が非常によく観察できるので、構造を知る上では最適な場所でした。小川先生にはスケッチブックに絵を描きながら解説いただき、伊豆・小笠原弧衝突帯北端の、圧倒的なエネルギー受けた三浦が見せる様々な現象も、地球誕生以来休むことなく繰り広げられている地球の歴史の一コマであり、これからも連綿と続くのだということを実感しました。そして、「五千万年頑張って生きれば、オーストラリアが間近に迫る」という先生のお話に、会員一同大いに沸き上がりました。私達の知識では難解なお話しもありましたが、普段聞くことのできない最先端の話題までご紹介いただき、大変有意義な一日を過ごすことができました。参加者は23名でした。       (M.I.)
                    

三崎層中の炭酸塩岩 石灰質岩の解説
▲この地域の最下部にみられる石灰質岩。塩酸で反応した。
▲三崎層中に挟まれる石灰質岩の解説をスケッチブックを使いながら解説される
リーデルシアーの解説 右ズレの断層
▲断層帯のリーデルシアーについて小川先生から解説を受ける。 ▲右ズレ断層で変位した三崎層を観察する。
剱崎の背斜構造 正断層の解説
▲剱崎灯台西の海食崖に見られる三崎層の褶曲した背斜構造。 ▲付加帯である三崎層中に見られる正断層について解説される小川先生。
逆断層の解説 重複したスコリア層
▲低角な逆断層により重複したスコリア層について説明を受ける ▲同じスコリア層が逆断層により3度重複している。


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