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相模川の生い立ちを探る会 2006年9月 「小御岳火山の溶岩」

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「相模川の生い立ちを探る会」 活動の記録

第175回 2006年9月9日 

小御岳火山の溶岩


小御岳火山の溶岩と富士の寄生火山

今月は富士山富士吉田口五合目に登り、富士の基盤である小御岳火山の溶岩を観察し、三合目に下る途中、寄生火山や新富士火山の火山噴出物を観察しました。
 小御岳神社東方のお中道では、新富士火山の中期(3000-5000年前)とされる玄武岩溶岩とその火砕岩が露出していました。この溶岩類は富士山体の斜面とは異なる走向を示し、一部で溶岩流が逆転している場所もありました。これが溶岩流が古い時期のものであることを物語っていると考えられます。
 小御岳火山の地層は佐藤小屋からの登山道付近に露出していました。斑晶に富む薄い溶岩と、火砕岩の互層からなり、新富士起源の溶岩に被われているのが認められました。小御岳火山の溶岩は北東−南西走向、南傾斜で40度程傾いていました。この構造が小御岳火山の斜面の向きを示すと考えると、小御岳火山の山頂は北西の爆裂火口内にあり、標高3000mほどあったと推定されます。この露頭の右側には、小御岳溶岩とは逆方向の右手に傾く新富士火山の溶岩が見られました。
 午後からは、五合目から三合目に精進湖登山道を火山弾を探しながら、下りました。ほとんどがスコリアや噴石からなる噴出物でした。粗いスコリアは基質にあたる細かい火山灰がほとんどなく、ガサガサしていました。大平山や桟敷山付近では紡錘状やリボン状の火山弾が数多く見つかりました。桟敷山の裾では写真のような非常にきれいな紡錘状の火山弾が見つかりました。            (S.M.)
                    

コースの説明 溶岩樹型
▲集合場所でコースと概要を説明する ▲五合目の店先にあった溶岩樹型
小御岳火口を望む 新富士の中期溶岩
▲小御岳火山の火口を望むが曇天で見えず。 ▲新富士の中期溶岩。山頂登山道の分岐にある溶岩は緻密なガラス質溶岩だった。
傾斜する小御岳溶岩 典型的な紡錘状火山弾
▲富士山頂火口側に傾斜する小御岳溶岩と火砕岩の互層を示す露頭。 ▲会員が見つけた典型的な紡錘状火山弾。桟敷山から噴出された。
厚いスコリア 黒いスコリアの接写
▲五合目から3合目に下る途中には降下したスコリア層が数多く見られた。 ▲噴出されたスコリアは、よく発泡していて、細粒物質はほとんどみられない。


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