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相模川の生い立ちを探る会 2006年1月「茅ヶ崎市香川〜行谷」

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「相模川の生い立ちを探る会」 活動の記録

第168回 2006年1月22日 

茅ヶ崎市香川〜行谷


高座丘陵の地形と箱根火山の火山灰

コース:相模線香川駅〜下寺尾建彦神社〜文教大学〜行谷里山公園〜芹沢入口
 今回は茅ヶ崎市北部の高座丘陵の地形をみながら歩き、箱根火山起源の火山灰・火砕流の露頭を観察しました。
 香川駅から東へ住宅の建ち並ぶ砂丘地を歩き、平野と丘陵の境にある相模川左岸幹線用水路を越えると丘陵地に入ります。相模川左岸用水は相模原市磯部から取水しているもので、昭和15年に完成しました。高座丘陵は、15〜13万年前の下末吉海進時に相模川河口部に堆積した浅海の砂礫層からなり、その上に箱根火山と富士火山からもたらされた厚いローム層が重なっています。 
 今回のルートでは箱根火山起源の、吉沢中部軽石層群・三浦軽石(MP)・東京軽石(TP)・三色旗軽石(SP)・中央火口丘第1軽石(CCP-1)等をじっくり観察しました。MP〜SPは、6〜5万年前頃に箱根火山が大規模な火砕流を多量に噴出してカルデラを形成した時期の噴出物です。特に、東京軽石直後の火砕流(軽石流)は、箱根から平塚を通り、相模川を渡って横浜西部まで届きました。今回観察した露頭でもTP直上に、火砕流本体やそれに先行する爆風堆積物(火砕サージ)が確認されました。また地震による軽石の液状化を示すパミスダイクもMPとTPとで見られました。
 帰りのバス停から、夕焼けの箱根山がぐっと近づいたようにみえました。里山公園は自然がよく残る公園で、地層観察もできますので、散歩がてら出かけて見るのもよいでしょう。   (N. S.)

                   

出発前の観察解説 富士起源ローム
▲高座丘陵の南端と相模川左岸用水について解説する。(松風台) ▲高座丘陵を作る吉沢ローム層の軽石群を観察する。(松風台)
輝石安山岩溶岩 金時山
▲東京軽石の露頭と軽石の液状化跡を観察する。(下寺尾) ▲三浦軽石が液状化して東京軽石の中に貫入している。(下寺尾)
カルデラ地形 御正体山
▲成層する東京軽石。降下した単位がよくわかる。(下寺尾) ▲南九州姶良火山から噴出された姶良−丹沢火山灰(AT)を発見。(下寺尾)
明神ヶ岳 富士と金時
▲東京軽石の上に重なる火砕サージの堆積物。黒色〜褐色の火山砂からなる。(行谷) ▲東京軽石が液状化した軽石ダイク。三色旗軽石に貫入している。(里山公園)


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