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相模川の生い立ちを探る会 2005年11月「ヤビツ峠〜菩提」

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「相模川の生い立ちを探る会」 活動の記録

第166回 2005年11月19日 

ヤビツ峠〜秦野市菩提


表丹沢の地形と地層の観察

満員のバスに揺られて、ヤビツ峠に着きました。まず、駐車場横のローム層の露頭を観察。2万6千年前に現在の鹿児島湾を作った姶良火山の大陥没(カルデラ)。このカルデラを作った火砕流の噴出により日本全国に飛来した火山灰は、最初に、ここヤビツ峠で発見されたとのことで、それを探しましたが、残念ながら、この露頭では確認できませんでした。
 藤熊川の源流に下り、右岸に丹沢の海底火山による乱泥流の堆積を示す露頭を発見。このような乱泥流がたびたび繰り返され、現在の丹沢の基を形成しています。観察に時間をとられ、2時間をかけてやっと青山荘前に到着。ちょっと急いで菩提峠に向かいした。
 峠から秦野盆地や大磯丘陵がよく遠望できました。現在、平塚方面に流れている水無川や金目川は、数万年前は、もっと西の葛川や中村川に流れていましたが、渋沢断層の活動により渋沢丘陵が隆起し、秦野盆地が形成されて、流路が変更されたとのことです。今では、300mを超える曽我山も、国府津・松田断層の活動に伴い、5万年前以降に激しく隆起したことなど、神奈川県西部の激しい変動地形が、菩提峠から目の当たりにすることができるのです。
 昼食後、林道沿いの露頭で、1500万年前位の海底火山からの溶岩流や、それが急に冷やされてできた溶岩角礫岩(ハイアロクラスタイト)を確認。丹沢は、その昔、はるか南海の海底火山だったのです。今日の巡検で確認できるのは、海底火山の噴火により火山灰が堆積した凝灰岩ばかりと思っていたのですが、海底火山から流れ出た溶岩そのものをいくつかの露頭で確認し、丹沢の成因の複雑さを改めて考えさせられました。(T.E.)
 
この文章は会員が書いたものです。
                    

ヤビツ峠に集合 乱泥流により堆積した縞状凝灰岩
▲ヤビツ峠に集合。 ▲乱泥流により堆積した縞状凝灰岩を観察。上半部は、その上に重なる乱泥流の下部。
道沿いの紅葉 護摩屋敷の湧水で一休み
▲道沿いでは紅葉がきれいでした。 ▲護摩屋敷の湧水で一休み。
GPSのアンテナ 菩提峠から地形展望
▲菩提峠には国土地理院によりGPSのアンテナが設置されている。 ▲菩提峠からは地形がよく遠望できる。
土石流による角礫岩を観察 秦野盆地から真鶴を望む
▲菩提へ至る道沿いで土石流による角礫岩を観察。 ▲秦野盆地や大磯丘陵、真鶴方面がよく遠望できる。


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