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相模川の生い立ちを探る会 2005年7月 富士の噴出物

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「相模川の生い立ちを探る会」 活動の記録

第163回 2005年7月24日 富士の噴出物


富士の噴出物

富士五合目の須走口バス停を降りると、天気は生憎の小雨でしたが、日本の中でグランドキャニオンが見えるとあって、会員一同張り切って小富士に向け出発しました。
小富士までは約1.5kmの平坦な道のりです。途中、茶色い堅い岩盤状の層が足下に現れます。堅い茶褐色の火山灰と火山礫とが層をなして重なっています。これは古富士の噴出物とのことで、新富士の黒色の新鮮なスコリアとは明確に区別できます。さらに歩を進めると、突然目の前の展望が開け、スコリアに覆われた小山が見えます。これが小富士です。頂上からは絶景の素晴らしい場所のようですが、今日は曇りでよく見えません。しかし北東方向にスコリアで覆われた小山が並んで見えます。
 早い昼食をすませ、グランドキャニオンへの下山を始めます。途中火山砂礫層の沢を下ったり、沢左に展開するスコリア斜面を下ったりと約2kmほど下山すると、突然目の前に30〜50mはあろうかと言う大絶壁が現れます。壮大な眺めです。上部にあるのは宝永噴火堆積物で我々の立つ所まで何十層あるか判りません。一番下には2.6万年前のAT層が見えると言いますが、今回は確認できませんでした。また別の所には水流による堆積層も見つかりました。 300mほど下ると道の勾配より噴出物の堆積層の勾配の方が急なため、どんどん上部の層が見えてきます。そして堆積層が不明瞭になって、この和製キャニオンは終わります。富士山の噴出物の重なりをこれほど明確に深部まで見せてくれる場所は他にはないだろうと思います。
 なお、注意事項として道が整備されておりません。地形図の読める方が同行しないと道に迷う危険のあることも附記しておきたいと思います。  (K.Y.)

溶岩の前でガイダンス 沢の黒いスコリアを観察
▲バス停すぐ脇にある厚さ1m程の溶岩の前でガイダンス。 ▲沢に黒く積もったスコリアを観察する会員。
古富士の噴出物を発見 4枚の溶岩が重なった様子を観察
▲小富士に向かう途中でテラフ(降下火山噴出物)の地層を発見。古富士の噴出物との説明があった。 ▲コース途中で4枚の溶岩が重なった様子が確認された。
小富士に向かう会員 スコリアの押し出し先端を見る
▲寄生火山である小富士の頂上へ向かう会員。 小富士からグランドキャニオンに向かう途中の沢でスコリアの押し出し先端を見る。
スコリアの斜面を歩く 何十枚も重なった地層を観察
▲グランドキャニオン手前で、スコリアの斜面を歩く。 グランドキャニオンで何十枚も重なった地層を観察する会員。


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