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相模川の生い立ちを探る会 2005年5月 足柄層と河原石の観察

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「相模川の生い立ちを探る会」 活動の記録

第161回 2005年5月29日 山北町谷峨


足柄層と川原石の観察

まず、谷峨駅東にある取水堰下流の吊り橋上から足柄層群の畑層(140〜170万年前)の様子を観察し、さらに300m程下流の川原に降りました。川原石をひとつずつ観察してみると、河内川が運んできた丹沢からの石と鮎沢川が運んできた富士・箱根からの石が混在していました。丹沢から運ばれてきた岩石に注目して観察を進めると、キラキラと黒光りする縞模様が美しく波打っている角閃片岩の巨礫が見つかりました。堆積岩の微褶曲構造はよく知られていますが変成岩のものは大変珍しいそうです。
 砂泥と礫の互層からなる足柄層群畑層の露頭では、堆積の区切りである層理面がはっきりとしているので、クリノメータの実習に最適でした。砂泥層では粒子の粗い方から細かい方へ堆積する級化構造(グレーディング)の様子がよく観察できました。砂質シルト層の上では生痕化石や大きなホタテ貝の仲間の化石を採集することができました。
 昼食後、鮎沢川の川原に入りました。富士山からの玄武岩溶岩が多く、丹沢側に比べて黒っぽく感じられます。転石の間に現れた礫岩の露頭は傾斜が垂直に近く、大きな地殻変動があったことを示していました。河原の礫を観察すると、本来、鮎沢川側には無いはずのトーナル岩の円礫が含まれていて驚きました。これは、10万〜8万年前まで酒匂川は駿河小山の方に流れ駿河湾に注いでいたが、5万5千年前の箱根カルデラ形成時に土石流が西に流れる流路を塞いだため現在の相模湾に注ぐ流路ができたという説を裏付けるものだそうです。
 1日の行程の中で、様々な種類の岩石や化石・地層を観察して、その成因についての解説をしていただき、非常に充実した内容の野外観察でした。(K.H)
   ※この文章は会員が書いたものです。

河原で先生の説明を聞く会員 谷峨の河原で石の観察
▲河原で先生の説明を聞く会員。石ころにはそれぞれのふるさと、できかたがある。 ▲酒匂川の谷峨の河原で礫を観察する。石の種類が多く、でき方が複雑だ。
河原に見られる覆瓦状構造 傾斜した足柄層
▲河原の石は水流によって上流側に傾いているのがわかる。jこれを礫の覆瓦状構造(インブリケーション)と言う ▲傾斜した足柄層の砂岩と泥岩の互層。西側へ傾斜している。
足柄層の走向傾斜を測る 足柄層の露頭を観察する会員
▲足柄層の走向傾斜を測る会員。層理面が面となっているので、とても測りやすい。 ▲足柄層の露頭を観察する。砂岩と泥岩が乱泥流で運ばれた様子が読みとれる。
トーナル岩を取り込んだ礫岩 鮎沢川と河内川の合流点
▲礫岩は1万mほどの地下で形成されたトーナル岩を取り込んいることから、足柄山地が急激に隆起したことがわかる。 ▲鮎沢川と河内川の合流点を展望すると、手前の河原は富士溶岩ばかりで黒く、向こう側(河内川)は丹沢の深成岩が多く白いのがわかる。


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