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相模川の生い立ちを探る会 2005年3月 三浦半島

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「相模川の生い立ちを探る会」 活動の記録

第159回 2005年3月20日 三浦半島


■本州に付加した三浦半島

コース:三浦市三崎町諸磯 浜諸磯〜海外町

今回は,筑波大学の小川勇二郎教授を講師に招いて、「本州に付加した三浦半島」をテーマに三浦市諸磯〜海外町の海岸を歩き、三崎層を観察しました。この地域の三崎層には、シルト礫を多量に含む混在岩(いわゆるスランプ堆積物)が広く分布し、従来海底地滑りによるスランプ構造として説明されてきました。小川先生はこの三崎層を詳細に研究され、混在岩の特徴、デュープレックス構造(同じ地層が何度も繰り返して覆い被さる構造)やベイン構造(地震動によるひび割れの構造)の存在などを記載され、伊豆小笠原弧の前孤域に堆積した三崎層が、600万年前頃から本州孤に付加されていく過程で、地震による海底地滑りと液状化とを受けて、三崎層の各種の構造が形成されたことを明らかにされました。こうした三崎層の構造を、スケッチブックに絵を描きながら、易しく、かつ詳しく説明されました。混在岩のでき方が付加時の液状化に起因する証拠を、露頭で目の当たりに見ることができ、うれしく思いました。また、ベイン構造は、シルトをプラスチックケースに入れて震動を与えると、見事に露頭と同じ構造が形成され、実演を交えた説明に感銘を覚えました。デュープレックス構造は、同じスコリア層が滑り面を境に何度も繰り返して、覆い被さっており、地層が短縮して本州へ付加していく過程をうかがい知ることが出来ました。天然記念物に指定されている海外町のスランプ構造の露頭でも、同じ地層が繰り返して重なっていることを説明され、露頭左手(西側)から右手(東側)に覆い被さっていることを知りました。最新の研究の成果をご案内いただき、会員一同、大変有意義な一日でした。

 

講師の小川先生から説明を受ける スコリア層の解説を受ける
▲浜諸磯海岸で三崎層の概略について講師の小川先生から説明を受ける。 ▲タービダイトとして堆積したスコリア層の解説を受ける
深海の生痕化石 説明される小川先生
▲三崎層に含まれる深海に生息するゾーファイコスの生痕化石。海底の表層の泥を食べて、泥中に排泄した跡。 ▲ノートに絵を描いて説明される小川先生。
海底で液状化により形成された混在岩 切れ切れに含まれる混在岩
▲シルトブロックが大量に含まれる混在岩。本州に付加する際に海底でおこった液状化により形成された。 ▲同じ地層が何度も切れ切れに含まれる混在岩。(浜諸磯海岸)。
デュープレックス構造を観察 ネプチュニアン岩脈
▲同じ地層が水平方向に乗り上げて繰り返しているデュープレックス構造を観察。 ▲地震による液状化で上にある混在岩が落ち込んで形成されたネプチュニアン岩脈。
天然記念物のスランプ構造の露頭 海外町のスランプ構造もデュープレックス
▲天然記念物に指定されている海外町のスランプ構造は、左から右手へ乗り上げて形成されたと、小川先生から説明を受けた。 ▲海外町のスランプ構造も実はデュープレックスと説明を受ける。

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