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飛び方のいろいろ

野鳥の観察 (2.飛ぶ)

飛び方のいろいろ

ガイドブック14 野鳥の観察 平成7年3月発行

鳥の飛び方には大きく見て二つの方法があります。一つは、翼を規則的にはばたいて飛ぶ「はばたき飛行」です。もう一つは、翼を広げたままですべるように飛ぶ「滑空(グライディング)」です。滑空は、はばたき飛行に比べて使うエネルギーはずっと少なくてすみますが、高度が保てない欠点があります。そこで、滑空をよくする鳥は上昇気流を利用して高度をかせぎ、滑空で距離をかせぐ飛び方をします。上昇気流に乗って浮かぶことを「帆翔(ソアリング)」と呼んでいます。また、地形の凹凸にそって生まれる気流もソアリングに利用されています。ミズナギドリ類やアホウドリ類では、海面の波に沿った気流を利用した独特の飛び方で移動していきます。

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★波状飛行
はばたき飛行の特殊な形にヒヨドリなどで見られる波状飛行があります。これは強くはばたいて上に上がる勢いをつけ、翼を閉じて弾道を描いて進む方法です。この飛び方は必要なエネルギーははばたき飛行と同じ程度ですが、筋肉の使い方が断続的になることに生理上の利点があるとされます。

★帆翔と鳥柱
帆翔している鳥を見ると、いかにも楽々と空に浮かんでいるように見えますが、尾羽を見ると左右に傾けデリケートにバランスをとっているのが分かります。トビはそのようすを観察しやすい鳥の一つです。
多くの鳥が同じ上昇気流に乗って空に浮かんでいるようすを「鳥柱」と呼ぶことがあります。秋に南に渡っていくサシバの群れ、ねぐらに向かうユリカモメの群れはよく鳥柱を作ります。青空をバックにした鳥柱は、野鳥の作るもっとも美しい光景の一つです。上昇気流の起こりやすい岩山にはタカ類の鳥柱ができやすく、絶好の観察ポイントになります。
鳥柱を作った鳥たちはやがて滑空に移り、すべるように遠ざかっていきます。

17-1 帆翔するトビ
★ダイナミックソアリング
ミズナギドリ類などの水面の気流を利用した飛び方はダイナミックソアリングと呼ばれています。海上を飛んでいる鳥を見た時に、はばたき飛行をしているカモメ類とは、飛び方でグループの区別ができます。

17-2 ユリカモメの鳥柱
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