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7平塚空襲の被害

特別展 44万7,716本の軌跡−平塚の空襲と戦災− (4 平塚大空襲−準備された空襲−)

7.平塚空襲の被害


 米軍は偵察飛行により、建物で囲まれた平塚の攻撃面積を6平方キロと見積もっていました。このうち、3.7平方キロの広さが市街地、2.3平方キロの広さが工業地区としています。そして攻撃の結果、破壊した市街地は2.1平方キロで全市街地面積の57パーセント、工業地区はO.5平方キロで全工業地区面積の23.4パーセントにあたるとしており、攻撃面積の44.2パーセントを破壊し尽くしたとしています。工業地区のうち、Target Numberがつけられ攻撃目標になった軍需工場は、Target Namber1336が海軍火薬廠、同じく2015は日本国際航空工業、同じく2035は第二海軍航空廠平塚分工場、同じくXXI3011は横須賀海軍工廠造機部平塚分工場でした。そして、それぞれの破壊程度は、海軍火薬廠が5パーセント、日本国際航空工業が10パーセント、第二海軍航空廠が100パーセント、横須賀海軍工廠が50パーセント破壊したと見積もっていました。この他、攻撃面積以外で与えた損害については、市街中心点(MPI)から3キロメートル以内の場所も破壊したとあります。このため、大磯町では大磯駅周辺・高麗・寺坂の一部が、平塚市では現在市域になっている高根・根坂間の旭地区、南原・中原・真土・四之宮・八幡の大野地区、長持・入野の金田地区、そして田村の各一部が、茅ヶ崎市では柳島・松尾・中島・今宿・下町屋・浜之郷・矢畑・円蔵・西久保・赤羽根・茅ヶ崎・東海岸などの一部が被災しており、被害は予想以上に拡大しています。
 ところで、7月16・17日の空襲やその後の空襲による人的被害は具体的にどうだったのでしょうか。7月16・17日の空襲による日本側の被害は、神奈川県警察調べによると人的被害に死者237人、重軽傷者268人、罹災者35,336人、罹災戸数7,678戸、物的被害として全焼8,263戸、半焼4戸となっています。負傷者数や罹災者数、罹災戸数や全・半焼数については、総体的な数値を上げる具体的な資料を欠くことから、今のところ神奈川県警察調べによる統計を利用するほか方法がありません。しかし、死者の数については、神奈川県警察調べの数値だけでなく、たとえば、戦後空襲の効果について調査した「戦略爆撃調査団」の報告によれば、平塚大空襲の人的被害数を228人としていること、さらに「日本の空襲第4巻 神奈川他」(三省堂刊)によれば、平塚大空襲の人的被害数を、343人としています。神奈川県警察調べの犠牲者を基準に、個々の犠牲者を比較すると、人的被害数にはそれぞれの出典によって、−9人から106人までの大きな開きが存在します。したがって、ここの数値をそのまま鵜呑みにできない状況にあると考えられますが、少なくとも死者の数は、少なくとも280人を超えるものと想定されています。
 現在、平塚市で調査した結果、空襲で死亡された方は、343名を数えています。これら340名について、他市の戦災により亡くなられた方13名を除く、330名の方々について、年齢別に地区をわけ、犠牲になられた方の数を示すと第3表になり、また、男女別死亡者数を地区別に示すと第4表の様になります。
 こうしてみると、死亡者の最も多い地区は、新宿地区で、須賀、本宿、馬入、大野、金田、神田、土沢と続いています。これら死亡者の違いは、やはり住居地が密集し、居住人口が多い順に死亡者が多いといえます。しかし、死亡者の男女別あるいは年齢別に比較してみると、男女間に特に差はみられないと同時に、この傾向は年齢別に比較しても、特に何処の年齢層に死亡者が多いとはいえないようでした。このことは何を物語るのでしょうか。一般的にいって、男性や若者と比較的して逃げ足の遅いと考えられる子供・老人・女性層などに空襲による犠牲は多いと考えられるのですが、特にそうした傾向にはありません。こうしたことは、先に示した焼夷弾の投弾数に現れるように、平塚の空襲が激しかったために、特に性別・年齢に関係なく犠牲者がでたということです。
 また、空襲による死亡者をその死亡月日別にみると、7月16・17日の死亡者が多く、大空襲によるもので中でも17日の犠牲者が207人と全体の60パーセントに達していました。続いて16日、18日、19日と次第に数を減らしていきますが、7月30日に再び増加し、その日一日で25名の方々が空襲の犠牲になっています。これは後述しますが、この日にも大規模な空襲があったからにほかなりません。また、2月17日も後述しますが平塚がはじめて米軍の組織的な空襲を受けた最初の日にあたります。

表3年齢による地区別死亡者数 表4男女別死亡者数





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