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釜と蒸篭

食の民具たち 平成16年冬季特別展 (4 鍋と釜)

釜と蒸篭

図録 平成16年1月発行

 羽釜は鍔から下がすっぽりとヘッツイの穴にはまるので熱を逃さず、上半分が広い蒸らしの空間になり、厚い木蓋が蒸気を逃がさないので、ふっくらと美味しいご飯が炊ける。炊けたら少し蒸らしておはちに移す。このときに用いたのが釜敷きである。昔の釜は底が丸いので釜敷きにのせて安定させ、また煤で板の間が汚れるのを防いだ。釜敷きは鍋敷きと兼用であった。また、釜底のお焦げに醤油を垂らして握ってもらい、蓋の裏側にのせて食べるのが子供たちの楽しみであった。
 大釜を除き、収蔵品の釜で一番大きな釜は、写真63の銅釜で五升炊きである。最も多いサイズは三升炊きの釜で、これが農家で用いた標準サイズの釜といえる。たくさんのご飯を一度に炊いたのには四つの理由が挙げられる。(1)家族の人数が多かった。(2)朝に炊いたご飯を昼にも食べることが多かった。(3)現在よりもおかずが少なかったので、その分ご飯を食べた。(4)労働が激しかった。
 釜にのせるハヤブカシも収蔵品のほとんどが三升釜用であり、釜の口縁にすっぽりとはまり、蒸気を漏らさないようにできている。角形の蒸籠は、丸い釜に直接のせるわけにいかないので、大釜の上に厚い板を敷き、板の中央に蒸気口をあけ、その上に蒸籠を積み重ねて用いた。

羽釜(はがま) 鍔(つば) 釜敷き(かましき) 煤(すす) 漏(も)らさない 蒸籠(せいろ) 






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