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講中膳椀について

食の民具たち 平成16年冬季特別展 (9 酒と神仏の器)

講中膳椀について

図録 平成16年1月発行

 厚木市など県央から多摩地区、埼玉県にかけての広い範囲にわたり、共有膳椀の慣行がある。講中などの地域集団で膳椀類を共有し、冠婚葬祭などに使用している。平塚市域では共有膳椀の例は確認されておらず、地主から膳椀を借りて行ってきた。写真162-3の古真土庚申講中膳椀箱内に、「大正貳年貳月庚申日 庚申講日待並椀新調簿」と題する帳簿があり、その中に「講中椀新調二関スル記 一黒四ッ椀拾人前 此代価金五圓五拾銭也 外二箱代金拾七銭 買入時日 大正元年九月廿八日」という記録があり、別の帳簿に「會津ヤマ十記福形黒椀拾人前金四円五拾銭特約」とある。つまり、大正元年に黒四ッ椀拾人前を庚申講中で購入したことになる。冠婚葬祭で用いた共有膳椀と違い、この黒四ッ椀は庚申講のときだけに使われたのであろうが、市域では講中で揃いの膳椀を所有していた事例があまり確認されていなかったため、ここに紹介しておいた。






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