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竜宮社

平塚・石仏めぐり-旧市内編- (2・旧須賀村)

竜宮社



地元ではリュウゴンサンと呼ばれ、湘南大橋のたもとに海に向かってまつられています。写真のように石の台の上に鎮座する石祠です。銘文はありませんが、石祠の表面は長年の風雨にさらされているためか、波に洗われたような風化が見られます。
この石祠は名称からもわかるように、海上安全や漁業の神としての信仰をうけ、現在も漁業者を中心にまつられています。竜宮社の祭りは2月1日と9月1日に行われています。現在は漁業関係者が集まって神官に祝詞をあげてもらう程度となっていますが、かつては盛大な祭りであったといわれています。2月と9月はハチダ網やカツオの一本釣りが盛んな時期でしたが、祭りの日はフナドメといって漁に出るのをひかえたし、他に出漁していても必ず戻って祭りに参加したそうです。この日には、戦前までは神楽師を頼んできて神代神楽を奉納し、戦後は芝居や映画の上映が行われ、船主の家では乗組員たちが集まって盛大な宴が開かれたりもしました。
竜宮社は年2回の祭りの他に、機会あるごとに供物がされたり、参拝されたりしています。たとえば正月2日の船祝い(フナイワイ)には、朝早く自分の船の船霊様(フナダマサマ)に供物をして豊漁と無病息災を祈願した後、竜宮社にも同様な供物をし、この前で松葉を焚きます。また、初出(ハツデ)といって正月に初めて出漁するときには、海へ出ると竜宮社の沖で船をオモカジ回り(右回り)に廻しながら船頭がミヨシ(舳先)に海水をかけます。下の初出の写真は、船がオモカジ回りに廻っているところです。
正月行事の他、毎月19日には漁をしている家の主婦が竜宮社に集まり、魚、御神酒、榊、ロウソク、線香などをあげてお題目が行われています。主婦たちも漁の安全と豊漁を祈願するわけです。
年中行事や月づきの行事ばかりでなく、漁があったときには船主や船頭がオハツといい、とれた魚を供えます。かつて須賀でカツオ漁が盛んだった時には、カツオがとれるとカツオのイソゴ(ホシともいう)をとって供えたといわれています。

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